あなたは重曹の正しい活用方法をご存知ですか?重曹は安全で万能な掃除のお供として広く知られていますよね。でも、実は正直いまいち使い方がわからない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は家事の中でも1、2を争うほどに億劫な掃除場所であるお風呂場をテーマに、重曹についての理解を深めつつ、お風呂掃除での活用方法についてご紹介していきます!
目次
重曹についての基礎知識
重曹は言わずと知れた万能アイテムで、天然素材で安心!重曹で電子レンジを手軽に素早く綺麗にする掃除法やキッチンの掃除が毎日簡単にできる!?重曹を使った簡単掃除!などでも登場していますよね。ですが重曹ってそもそもどのようなものか?という質問にきちんと答えられる方は実は少ないのではないかと思います。かく言う私も昔は全然知りませんでした。
重曹には種類がある
重曹は正式名称を「炭酸水素ナトリウム」と言います。別名を重炭酸またはベーキングソーダとも言い、純度によって医療用、食用、工業用の3つに分類されています。
医療用は純度100%のもので、胃薬や火傷薬、点滴などにも使われています。食用は純度98%〜99%のものを指し、ふくらし粉やベーキングパウダーなどに活用されています。今回のテーマである掃除などで活用する重曹は工業用で、純度が95〜98%までのもの。医療用や食用に比べ安価に手に入り、100円ショップなどでも販売されています。
重曹は口に入れても安全といわれる物質ですが、安全なのは医療用と食用で、工業用はそもそも人体に入ることを想定して作られていません。安全だからと掃除用の重曹を食用などの用途で使わないよう注意しましょう!
重曹の性質
なぜ重曹が掃除に適した「万能アイテム」と呼ばれているかというと、その性質によるものが大きいです。
弱アルカリ性
重曹はもともと弱アルカリ性の物質であるため、酸性を中和させる性質を持ちます。そのため、油汚れなどの酸性の汚れに重曹を使うと、酸性の汚れが中和され汚れを落としやすくする性質があります。
水に溶けにくく研磨作用がある
重曹は水に溶けにくく、粒子は細かく柔らかいため、スポンジなどに粉のまま振りかけて汚れのある箇所を擦ればクレンザーとなってこびりついた汚れを落とすこともできます。
消臭作用がある
必ずという訳ではありませんが、生ゴミや腐敗臭などの強い匂いは酸性の性質を持っています。そのため、アルカリ性である重曹を使うと無臭の中性へ中和してくれるのです。
発泡性がある
重曹は水に溶けにくいのですが、暖かい水を使用すると二酸化炭素が発生する性質があります。この性質を利用して重装水を作って気になる場所に吹きかければ、汚れを浮かし剥がれやすくしてくれます。
お風呂の汚れの種類
重曹の性質について理解したところで、早速お風呂掃除を…と行きたいところですが、闇雲に取り掛かっても重曹本来の効果を発揮させることはできません。なぜならお風呂場の汚れにもいくつかの種類があり、汚れの種類によって適した対処法があるためです。簡単にご説明しましょう。
水場掃除の基本は「中和」から
一口に「汚れ」と言っていますが、水場の汚れには2種類の性質があります。1つは酸性の汚れ、そしてもう1つはアルカリ性の汚れです。そしてこれらの汚れを落とすには、中和をさせるこ必要があるんですね。言い換えれば、酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤(物質)を、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤(物質)を使用し、汚れの性質を中性に近づけることで汚れを落としやすくしているんです!
つまり、アルカリ性の性質を持つ重曹は酸性の汚れに対しては有効であるものの、アルカリ性の汚れを重曹で落とすのは難しいんですね。
お風呂場の汚れの種類
では上記の汚れの性質をベースにお風呂場の汚れの種類と性質別にを整理してみると、以下のようになります。
性質 | 汚れの種類 | 発生しやすい場所 |
酸性の汚れ | 皮脂汚れ、人の垢、ピンク汚れ | 壁の低い位置、床 |
アルカリ性の汚れ | 水垢、石鹸カス | 鏡、蛇口、水栓器具等 |
酸性とアルカリ性の汚れ | 複合汚れ | 浴槽、排水溝 |
その他 | 黒カビ | 床、壁、天井など多数 |
重曹単体での掃除の場合には、油性の汚れである皮脂汚れや人の垢による汚れ等にその効果を発揮します。ですが水垢や石鹸カスはアルカリ性の汚れのため、同じアルカリ性の重曹ではこの汚れを落とすのは難しいんですね。この場合、重曹ではなく酸性の性質を持つクエン酸が有効です。
一番厄介なのがアルカリ性と酸性のどちらの汚れの性質を持つ複合汚れ。この場合は重曹とクエン酸といった要領でアルカリ性と酸性の道具を併用して対処する必要があります。(クエン酸はお酢でも代用が可能です)
重曹の活用方法
重曹とお風呂場の汚れの性質についてはご理解頂けたでしょうか?それでは大変お待たせしました!重曹を活用した掃除方法をご紹介していきましょう!
床
お風呂の床は皮脂汚れや体を洗った時にでる垢など、油性(=酸性)の汚れが溜まりやすい場所です。比較的範囲は広くなりますが、対処法は至ってシンプル!基本的には「つけ置き」がポイント!
- 重曹(粉末状のもの)
- 柔らかいスポンジ
- 水で簡単に汚れを洗い流す
- 汚れの気になる場所に重曹の粉末をふりかける
- そのまま1時間ほど放置する
- つけ置き後、柔らかいスポンジで優しく擦る
- 洗い流す
この方法は実はピンク汚れ(赤カビ)にも有効で、気になる部分をシャワー等で水に濡らし、重曹を振りかけ時間をおきこすれば汚れが簡単に落ちるので是非お試しあれ!
浴槽
浴槽の汚れは酸性とアルカリ性の2つの汚れが混在する少々厄介な場所です。このような混合汚れは一度に落とそうとするのではなく、段階的に対処するのがポイントです。手順としては第一に重曹で浴槽全体の湯垢を落とし、その後にクエン酸で水垢を落とします。
- 浴槽の残り湯
- 粉末状の重曹1カップ
- 柔らかいスポンジ or 掃除用の歯ブラシ
- クエン酸
- 浴槽の残り湯に準備した重曹を入れ、簡単に混ぜる
- そのまま一晩つけ置きする
- 翌朝浴槽から水を抜き、スポンジでこすり洗い
- 水で洗い流す
- ヘリ部分など水垢のつきやすい場所をクエン酸を含ませたスポンジで擦る
- 再度水で洗い流す
排水口
排水口も浴槽と同じくアルカリ性と酸性どちらの汚れが混在する場所です。そのためこの場合も重曹とクエン酸を利用して対処するのが◎です。
- 重曹(粉末状のもの)
- クエン酸水
- 手袋
- ゴミ袋
- スポンジ
- 排水溝のゴミを取り除き、準備したゴミ袋に捨てる
- 重曹をたっぷりと排水口に振りかける
- 振りかけた重曹の上にクエン酸水を吹きかける
- シュワシュワと発泡したらそのまま30分程度おく
- シャワーで洗い流す
- 汚れが残っている部分はスポンジや歯ブラシで擦り洗いをする
クエン酸水の作り方
水100mlが入ったスプレーボトルに小さじ1/2のクエン酸を入れ、よく混ぜれば完成!
重曹を使った汚れ対策
重曹を使った掃除は「つけ置き」が基本。その間は別の作業ができるので時間の有効活用ができるものの、それでも掃除する場所が多く、開始から終了までに時間がかかるのがお風呂掃除。可能なら、できる限り汚れは減らしたいですよね。そんな場面でも実は重曹はかなり有効なんです。
入浴剤として使用する
実は重曹は入浴剤としても使用でき、「重曹風呂」とも言われます。重曹風呂の作り方は簡単で、浴槽に大さじ3杯程度の重曹を入れるだけ!これによってバスタブなどに皮脂性の汚れがつきにくいだけでなく、水で洗い流すだけで大部分の汚れが落ちるため浴槽の掃除の負担を軽減してくれます。
しかも皮膚についた角質や皮脂汚れも一緒に洗い流してくれるので肌がツルツルになるという嬉しい効果もあります!ただし、なるべく工業用は避け、薬用か食用の重曹を使用してください。また頻繁に入ると肌に必要な油分も落としてしまうため週に1〜2回程度に留めてくださいね。
重曹水スプレーで赤カビ対策
先ほど赤カビ汚れに重曹が有効であることをチラッとご紹介しましたが、赤カビ予防にも重曹は活躍します!
赤カビはカビの一種と思われがちですが、実は酵母菌の一種で酸性の性質を持っています。そのためアルカリ性の重曹の性質を利用して繁殖を抑えることができるんですね。
方法は簡単で、入浴後に重曹を溶かした重曹水を浴室中にスプレーし、数分後に洗い流すだけです。この際に沸騰させたお湯で重曹水を作ると、重曹が弱アルカリ性からアルカリ性へと性質が強くなり、より効果を発揮します。
水(或いはお湯)100mlに重曹小さじ1杯をいれ、よく混ぜれば完成!
まとめ
今回は重曹そのものの基礎知識と、お風呂掃除における重曹の活用方法をご紹介しました。
- 重曹は弱アルカリ性
- 医療用、食用、工業用があり、掃除には工業用を使用する
- 重曹は皮脂汚れなどの酸性の強く、水垢などのアルカリ性の汚れには向かない
- 基本的にはつけ置き後、スポンジで擦り洗い落とす
- 混合汚れのある場所は、クエン酸などを併用し順番に対処する
- 重曹風呂や重曹スプレーの利用で汚れを防止する効果もある
どんな道具も正しい使い方をしてこそその真価が発揮されるもの。「万能アイテム」と謳われる重曹にも得意とするもの、苦手とするものがあります。ぜひ今回の記事を参考に、日々のお風呂掃除に重曹を取り入れてみてはいかがでしょうか?きっと心強いお供になってくれることでしょう。