子育ては、心が震えるような幸福感を何度も味わわせてくれます。ですから子育て中に自分が「子育てに飽きる」日が来るとは夢にも思わないかもしれません。けれど多分どんなに子育てを楽しんでいたとしても、子育てに慣れた頃、ある日突然に「飽きた」という気持ちになる時が来ます。
子育てはそう何度も経験できることではないでしょう。ですからこの貴重な機会を大切にして、子育てに飽きないような工夫や知恵を凝らしてみませんか?
今回は、実はあっという間に過ぎ去ってしまう子育て期間を親子で楽しく過ごせるような、知恵と工夫を紹介します。
目次
「飽きた」は誰でも体験する
誰でも子育てに飽きる時は訪れます。「そんなこと誰も教えてくれないじゃない!」って思いますよね。その理由はきっとこの「飽きた」「退屈」という類の悩みが、過ぎてしまえば忘れ去ってしまえる程度のストレスだからなのかも知れません。
でも、子育てしている当事者にとって「いま子育てに飽きている」というのは深刻な問題ではないでしょうか?
「飽きた」のは子育てに慣れたから
「子育てに飽きた」と思うのは、子供との生活に余裕ができてきた頃じゃないでしょうか。
初めての子育てはわからないことだらけですから、最初は誰でも不安な毎日を送るでしょう。Google検索すれば情報はたくさん入りますが、どれが適切なのか判らないこともあります。親世代の情報はちょっと古いかなと思う時もありますし、他の人の情報がそのまま我が子に当てはまるとも限りません。
試行錯誤して子育てに少し慣れてきて毎日のルーティーンが決まり穏やかな日常を送れるようになると、「また今日も同じことの繰り返しをするんだわ」と思う時が、誰にでも訪れます。
「飽きた」を「面白い」「楽しい」に
でも心配ご無用、「飽きた」は「面白い」や「楽しい」に変換できるのです!
子育てで大切なのはパパママが楽しんでいられることじゃないでしょうか。これからパパママが飽きずにご機嫌な毎日を送るアイデアをいくつか紹介します。
自力でできる対策
子育てはそう何回も経験できることではありません。どうせなら子供が育つまでの間、できるだけたくさんの事や時間を親子で分かち合っていきたいですよね?
様々な実体験を我が子に経験させ、それを積み重ねた経験を「資源化」しておくと、親子で「飽きない」人生を送る土台を作れるのではないでしょうか?
子供がいるおかげで子供目線で世の中を見られるようになって、子供がいなければ気付けなかったことにめぐり合えるかも知れませんよね。
「観察対象」にしてみる
我が子を「観察者の視点から眺めてみる」という提案です。
乳児は全てのことが「初体験」ですから、側にいると人間が経験をひとつひとつ積み重ねて成長しながら形成されていくのを実感できます。その一つ一つの「初体験」を親としてはもとより「観察者目線」というスタンスで観ていくのです。
例えば、私はオムツ替えの回数カウントにはまりました。うちの子は肌が弱く、汚れたらすぐにオムツを替えてあげないとかぶれがひどくなってしまう赤ちゃんだったからなのですが、新米の母親にとって毎日何回ものオムツ替えがとても負担だったんです。あまりに辛かったので、替える回数を数えたら少しは救われるのかも知れないと思ったのがきっかけで、カウントを始めました。
「8回めだから今日の分は半分消化」「あとたぶん3回!」と、自分を励ましたものです。新生児の時の1日のオムツ替え15回が、成長するに従って13回、10回と減っていくのは、成長を実感できてとても嬉しかいものでした。
理解を深めつつ飽きずに子育てを楽しむため、乳幼児の発達真理について詳しく書かれた本を読みながら我が子を「観察」するのはオススメの方法です。いわゆる子育てHow to本よりも、子供の反応のメカニズムを分析して書かれた育児本や乳幼児発達心理学系に詳しい本の方が、理解も深まります。
オススメの本はこちらです。
とてもわかりやすいです。
他にも何冊か買った育児書は写真が多くわかりやすいですがこうしましょう、というやり方が書いてあるだけです。このベビーブックは赤ちゃんがこうだからこうしましょう、と理論的に書いてあるので理解しやすいです。
引用:amazon
『完全版シアーズ博士のベビーブック』は、自身も子育てを経験した米国の小児科医師夫婦が書いた子育て本です。子育てのの悩みや問題を解決法だけでなく、「なぜそうするのか」という理由が明快に書かれていて納得しやすい子育て本ですよ。
家事を「遊び」化する
子育てに時間を取られて家事にしわ寄せがくるのであれば、思い切って家事そのものを子供と一緒にやってしまいましょう。将棋の藤井聡太八段が受けていたことからも最近、よく話題にのぼる「モンテッソーリ流教育法」でも、「お仕事」として子供の年齢に合わせながら家事に子供を参加させていますよね。
今から100年ほど前に、イタリア人医師マリア・モンテッソーリが考え実践した教育理論です。子供の年齢に応じて最適な活動を与えて集中力を養わせ自発性を育みつつ人間的に成長させていこうという教育方法で、将棋の藤井聡太さん、オバマ元大統領、ビル・ゲイツや FACEBOOK、Googleの創業者たちは幼児期にモンテッソーリ教育を受けていることでも、近年、注目を集めています。
- コロコロで床やソファーのほこり取り
- 雑巾掛け
- ペットのブラッシング
- 窓拭き
- 草むしり
- はたきかけ
- 洗濯物干し
- 料理(もやしのひげ根取り、豆の筋取りなどの指先を使う作業がおすすめ)
NHK『ひとりでできるもん』でお馴染みの料理研究家坂本廣子さんが1990年に出版した『坂本廣子の台所育児 一歳から包丁を』(農産漁村文化協会)は、今でも多くのパパママに読み継がれているロングセラー本です。参考にされると良いですよ。
自分が行きたいところへ一緒に連れて行ってしまう
「子供がいるからできない」を「子供と一緒に楽しめるようになった」に替えてみましょう。ほとんどの交通機関は子供料金が設定されています。
母乳育児だったら離乳食前の期間は実は旅行のチャンスです!特に赤ちゃんの持ち物は着替えとおむつだけで良いですし、ホテルによっては乳幼児の一時預かりが可能な施設もあります。
- 3歳未満の子供は親1人につき1人分の航空運賃が無料になります。
- JRの運賃も乳幼児は基本的には無料です。
- 東海道新幹線にはファミリー車両もあるのを知っていますか?
お子様連れ旅行 JR東海ファミリー新幹線 - 東北新幹線は年末年始などの時期限定で乳幼児連れファミリー限定の座席を販売しています。
- 乳幼児は、寝台車にも特別料金で乗車できます。
子供が好きそうなところへ一緒に行く
子連れのお出かけは億劫に感じるかも知れませんが、そう思ってもちょっと頑張って外に出かけると、非日常を楽しんで気分転換ができるので子育てに「飽きる」ということもなくなりますよ。
家の近くの動物園や水族館、電車好きなら東京駅などターミナル駅で入場券を買っていろんな電車を見学するとか、美術館のアートイベントに参加するのもそこまでお金もかからず気楽にできるのでおすすめです。
親の趣味を共有する
先ほどの旅行にも似てますが、「子供が小さいから〇〇できない」と嘆くよりも「子供と一緒に〇〇してしまおう」に発想の転換をすると良いですね。
同じ趣味を持つと親は指導者として好きな趣味をより深められますし、何より子供と共通の趣味を持つなんて凄く素敵ですよね。知人で登山が趣味のご夫婦はお子さんが小さい頃から休日はクライミングジムに出かけ、夏休みは近所の山から始めて、最近は富士山や八ヶ岳と着実にステップアップして家族で登山を楽しんでいます。
「好きなことを一緒にできるのも嬉しいけれど、難しい登山をしている時に家族で協力しあったり、お互いの信頼関係を実感できるのが好き」って話してくれました。当然、仲の良い家族であることは言うまでもありません。
親の好みを優先してみても
子供があまり行かないような場所であっても周囲に迷惑をかけずにいられそうなのであれば、思い切って親の行きたい場所に出かけてみるのは試してみる価値があるかもしれません。
親が見たい展示をしている美術館や博物館をはじめ野球・ラグビー・サッカーなどのスポーツを生で観戦するのは、普段の生活とは異なる体験をしますから子供にとっては刺激的でしょう。特に美術館やモダンアート系のギャラリーは建築空間自体がユニークな場所が多く、子供には新鮮な体験になるでしょう。
ロックコンサートは乳幼児の聴力への影響が心配ですが、クラシックのコンサートやリサイタルであれば一緒に行くことは可能です。会場によっては子供が騒いでも気にしなくて良いような個室を備えているところもありますし、また上演中のみ子供を預かってもらえるベビーシッター制度がある会場もあるようです。
- Confetti カンフェッティ
演劇、劇場、コンサートやスポーツイベントなどのチケット販売業者。チケットを購入すると託児サービス(1~12歳)が無料になります。
Confetti 公演チケットサイト - イベント託児Mother's
主に首都圏の劇場他で託児サービスをしている会社。とても丁寧な印象あり。0歳児、障害児にも対応可能。
イベント託児 Mother's - 劇団四季
親子観劇室があるので子供と一緒に観られます。3ヶ月 ~6歳児の託児サービスあり。
劇団四季 親子観劇室・託児サービス - 宝塚大劇場
チャイルドルームで4ヶ月~9歳までの子供を預かってくれます。
宝塚大劇場 チャイルドルーム - 新国立劇場
新国立劇場で観劇するときに支えます。3ヶ月~12歳までの子供を上演時間中、合預かってくれます。
新国立劇場 託児サービス
人の力を活用する
親が子育てに真剣に取り組んでいるほど、自力で解決したくなってしましますが、子育てに人の助けを借りるのは親が未熟だからではなく、他人の目を通して色んな視点で見て我が子の可能性を引き出すのに有効な機会だと割り切って、世界を広げてみるのも素敵かもしれません。
赤ちゃん研究員を体験する
「赤ちゃん研究員」って聞いたことがありますか?
乳幼児の発達の過程を様々な角度から研究している大学の先生たちは、研究に参加・協力してくれる子供たちを募集しています。研究者たちは、「画像や動画が赤ちゃんの脳にどういう影響を与えるのか」とか、「遊んでいる時や映像を眺めている時の赤ちゃんは何をどのように学んでいくのか」「言葉はどのようにして学ばれるのか」というようなことを、赤ちゃんを観察して記録にとって研究に生かそうとしているんです。
あちこちの大学で、赤ちゃん研究員を随時募集しています。お金もかからず良い思い出にもなり、親の好奇心も満たされるオススメの体験です。
ご参考にいくつかの募集をまとめてみました。乳幼児の脳科学・心理学や行動学はまだ未知の領域が多い分野ですから、最先端の研究成果を知るのにも良い機会になりますよ。
ただし、我が子の記録が研究に使われることに抵抗を感じるのであれば、止めた方が良いでしょう。
東京大学総合文化研究科 開一夫研究室 | 東京大学 開一夫研究室 あかちゃん大募集 |
慶應義塾大学大学院社会学研究科 | 慶應義塾大学 赤ちゃんラボ |
大妻女子大学社会情報学部 宮崎美智子研究室 | 大妻女子大学 赤ちゃん調査ご協力者募集 |
同志社大学赤ちゃん学研究センター | 同志社大学 赤ちゃん研究員募集 |
京都大学大学院教育学研究科 | 京都大学 赤ちゃん研究員さん募集 |
九州大学人間環境学研究院発達心理学講座 | 九州大学赤ちゃん研究員infant scientist募集 |
長崎大学医学部第二生理学教室 | 長崎大学医学部 赤ちゃん研究員募集 |
地域の子育てコミュニティーに参加する
普段とは違うコミュニティーに参加するのは、気軽に刺激を受けることができて色んな人の話を聞いたり相談できて効果抜群です。
お住いの地方自治体のHPや広報誌を見てみると、乳幼児や母子向けの企画が開催されていることが結構あります。近所だと気軽に出かけられますし、気分転換にもなりますね。
まとめ
- 子育ては期間限定、子供はいつかは親離れするというのを忘れないようにしましょう。
- 子育てに飽きるのは誰にでもあることなので、当たり前のこととして受け止めましょう。
- 単調な日常の繰り返しに飽きてきたら、生活に変化を求めて気分転換を考えるのも良いかも知れません。
- たまには、親が自分の時間を楽しむことも大切です。
- 子育てで人の力を借りることに後ろめたさを感じる必要はありません。
子育ては永遠に続くものではありませんが、特に子育てで忙しい期間は親は自分の思うままに行動しづらくなりストレスに感じることがあるかもしれません。親が孤独感を感じることもあるでしょう。そんな時こそ、いろいろな方法で気分転換をして子育てに「飽きない」ための工夫をしてみてくださいね。