シルクのブラウスを誰でもプロみたいに綺麗にアイロン掛け!!

大人になると、結婚式やパーティーに招待されることが多くなります。そんな時に活躍するのがシルクのブラウスです。シルクだなんて、何だか持っているだけで優雅な気分になれそうです。

でも、シルクはどうにも扱いにくいイメージがあるかもしれません。アイロンはかけても大丈夫なのでしょうか?ポリエステルのような化学繊維や綿などと同じ扱い方で良いのでしょうか?

一歩間違えると、お給料を叩いて買ったブラウスが台無しになってしまう危険があります。そんなの悲しすぎますよね…。

でも、大丈夫です!

正しい扱い方を知っていれば、上手に付き合うことができますよ。今回は、シルクのブラウスのアイロンがけについて写真付きでご説明します。

なおみ
私も両親からプレゼントしてもらったシルクのブラウスがあったんですが、扱い方が分からなくて、あまり着ないまま手放してしまった残念な経験があります。
けんじ
あ~!あの水色のフリルが付いているブラウスだね。素敵なデザインだったよね。
なおみ
そうなの!だからブラウスを着こなせるように、シルクのアイロンがけを覚えたの。

シルクってどんな生地?

人工的に作られた化学繊維に対して、シルクはかいこという幼虫が作り出す「天然繊維」です。美しい光沢があって、ドレスに使われるサテン生地や着物の生地の材料としても使われています。

なんとクレオパトラから卑弥呼まで、昔から人々を魅了し愛用されてきた高級素材の代表と言えますね。

シルクの強み
  • 冬はあたたかく、夏は涼しい(保湿力・保温力・吸湿性・通気性があるため)
  • お肌との相性が良い(お肌の成分に近い約20種のアミノ酸で構成)
  • 引っ張る力に強い(綿や羊毛よりも強い。意外ですね~。)
  • 紫外線をカットしてくれる(紫外線カット率はなんと90%前後)
  • 静電気がおこりにくい
  • 乾きやすい(速乾性)
シルクの弱み
  • 摩擦に弱い(毛玉ができたり、光沢がなくなったりする)
  • 虫やカビがつきやすい
  • 変色やシワができやすい(紫外線をカットする分、生地が紫外線を吸収するため変色しやすい)
  • 汗ジミがつきやすい(早めに洗えば大丈夫)

天然繊維ゆえに弱いところもありますが、注意してお手入れしてあげれば心強いアイテムです。

では、いよいよブラウスのアイロンがけの手順と注意点を見ていきましょう!

 

アイロンがけのポイント

ブラウスのアイロンがけは、ひらひらしたフリルがあったり刺繍のような模様があったりして、なかなか一筋縄ではいきませんよね。

とっても共感します。難しいですよねぇ。

でも、そういうブラウスを上手に仕上げることが出来るようになったら、口々に「素敵ですね~!」と言われなくとも、女性としての美しさに磨きがかかること間違いなしです。

なおみ
シルクを日常的に着こなすレディを目指して、一緒にがんばりましょう!

適正な温度でアイロンをかける

まず、洗濯表示のタグを見てアイロン仕上げの表示を確認しましょう。アイロンマークの中に黒丸(●)が2つ付いているとしたら、中温でアイロンをかけましょうという意味です。

シルクは高温を当ててしまうと生地が傷んだり変質したりするため、必ず低温(110℃以下)から中温(150℃以下)でアイロンを掛けます。薄い生地でしたら、低温でも十分シワを伸ばせます。

現行表示 旧表示
table_icon_5_02.gif アイロン可
上限200℃
table_icon_5_01.gif アイロン可
上限210℃
table_icon_5_04.gif アイロン可
上限150℃
table_icon_5_03.gif アイロン可
上限160℃
table_icon_5_06.gif アイロン可
上限110℃
スチームアイロン禁止
table_icon_5_05.gif アイロン可
上限120℃
table_icon_5_08.gif アイロン禁止 table_icon_5_07.gif アイロン禁止

あて布が必要な場合、旧表示ではアイロン下部の波線で示されていました。

table5_01.gif

現行表示は付記用語(「アイロンは当て布使用」など)で示されています。

半乾きの状態で裏から

洗濯をした場合は、乾ききっていない状態で生地の裏からアイロンがけする方法もあります。適度に水分を含んでいるのでシワが伸びやすい状態になっています。

生地の裏側からかけるなら、あて布無しで大丈夫です。

あて布を使わなければ細かい部分まで見えるので、袖口のふんわりした部分なども隅々まで綺麗に仕上げられます。また、プレスしていたら別の所にシワが出来てしまった!なんてことも防げます。

低温~中温で、優しくアイロンをかけましょう。

表側にはあて布を使う

生地の上にあて布を1枚のせることで、生地への負担をぐっと軽減することができます。綿100%の色の薄いのものがベストです。

力を入れて圧力をかけると生地の繊維がつぶされ表面が光ってしまう(アタリ)ので、表側のアイロンの際は必ずあて布を使い、アイロンの重みものせないくらい優しく滑らせましょう。

あて布の選び方については、スラックスにアイロンを掛ける時に気を付けること?それは温度です!!に詳しく書かれていますのでご覧ください。

補足
頑固なシワの場合は、あて布がしっとりするくらい霧吹きをして洋服の上に置き、上から優しくアイロンかければOKです。

両手で、狭い部分から、直線的に

複雑な形状のブラウスのアイロンがけは難しいですが、両手をフル活用して、フリルなどの狭い部分から、直線的にアイロンを動かせば綺麗に仕上げられます。

下の動画は、シルクのブラウスでは無いようですがフリル付きのブラウスのアイロン掛けについて分かりやすく説明されています。フリルのアイロンがけの参考になさってください。

  1. フリルの部分からアイロンをかける
  2. フリルの外側から内側へプレス
  3. 袖の部分を片手で少し引っ張りながら、直線的に滑らせる
  4. 袖のラインを付けたくないので、袖を少し回転させてプレス
  5. 肩のラインもつけないように、アイロン台の端から肩を落として、台に載っている部分だけプレス
  6. 前と後ろの身頃はアイロン台にかぶせてセット
  7. 裾から上へ滑らす

シルクは高温に弱いので、アイロンのスチームを使うと生地が傷んだり、縮んでしまったりする可能性があります。プロの方はスチームを使う場合がありますが、シルクのアイロン初心者の方は霧吹きをしながらアイロンがけする方が安全です。

注意
霧吹きの水が清潔でなかったり、大粒の水滴の状態で生地に付いてしまったりすると、乾いたときに”水染み”になっていまう可能性があります。新しい水を入れ替え、スプレーボトルは細かいミストになるものが望ましいです。

あて布の方を濡らしてアイロンがけすることも出来ます。

 

【実践】アイロンをかけてみた!

せっかくなので、ユニクロのシルク100%のブラウスにアイロンをかけてみました。ドキドキです。

下の写真は、蒸気で細かいシワをとった状態です。(次の「シワを作らない工夫」でご説明します)

Before 

近所に買い物に行くくらいならこれでも良いかな~と思いましたが、せっかくのシルクなのできちんとアイロンがけをして、ふんわりシルエットにしてみたいと思います。

まずは、洗濯表示を確認します。

こちらの洗濯表示は旧式ですね。アイロンの下に「~」があるので、中温で「あて布」を使用するというマークです。水洗いOKなので、全体的に軽く霧吹きをしてからアイロン掛けをします。

裏から優しくかけるので、裏面はあて布無しで掛けていきます。生地がとても薄いということもあり、念のため中温ではなく「低温」に設定しました。薄手なら低温でも十分シワが伸びるのではないかと思い、念には念を入れ。

裏返しにして、ふわっとしている袖口からかけていきます。細かいギャザーはアイロンの先端を使って、直線的に動かしながらプレスします。

この時、先端を下に押し付けすぎると表に返したときに突起した跡がついてしまうので、先端を少し浮かせながら優しく熱を伝えることが大切です。

腕の片面にアイロンをかけられました。

裏側も同じ要領でやろうと思ったのですが、今アイロンしたばかりの袖口のギャザーを潰してしまう危険があったので、フェイスタオルを丸めて袖口に仕込み、ぐるっと1周アイロンをかけることにしました。

右の写真が未アイロンで、左がアイロンをかけた方です。ふんわり感が全然違います!

丸めたタオルがとても使いやすかったので、肩の部分もタオルを仕込んで立体的に仕上げます。丸みのあるアイロン台の角を使っても良いかもしれません。

タオルが気に入り、今度は平たい状態にして前身ごろにも使いました(笑)アイロン台よりもふわふわしていて、細かいギャザー部分にアイロンを当てやすいです。

なおみ
 これからは、アイロンがけのお供にタオルはいかがですか?

後ろ身ごろはアイロン台に着せるようにセットしてみます。この方法ですと、前身ごろにシワがつかないかしら~と心配しなくて良いので、安心して後ろ身ごろを仕上げられます。

肩の部分は、今度はアイロン台の角を使ってプレスしてみます。私はタオルの方が布にフィットする感じがして良いなと思いますが、上手な方はアイロン台だけでピシッと仕上げられるのだと思います(汗)

Before

やっぱり少しくたびれ雰囲気がしますね…それではAfterをどうぞ!

After

けんじ
わぁ~!見違えるように綺麗になったね!
なおみ
ふんわり復活しました!霧吹きとタオルと温度がポイントですね。

 

シワを作らない工夫

シルクは、低温~中温で裏からアイロンがけをすれば問題ないことが分かりましたね。でも、やっぱり熱や強い摩擦などの刺激は少ない方が良いですよね。

なおみ
お高いシルクがタンスの肥やしになってしまうなんて、悲しすぎますよね…

でも、お手入れに少し手間がかかるからと言って諦めないでください!そもそものシワを抑えることができれば、もっと気軽にシルクと付き合えるかもしれません。

では、今度はシワを防ぐ方法を見ていきましょう。

入浴後のお風呂につるしておく

入浴後のお風呂場にブラウスを吊るしておくという、とっても簡単な方法があります。温かい蒸気が繊維をゆるめ、シワが伸びやすくなります。細かいシワはこの方法でとることができます。

頃合いを見て取り出し、裏返してシワが気になるところだけ軽くアイロンがけすればバッチリです。紫外線に当たらないように陰干して、完全に湿気をとりましょう。

実際に、入浴後9時間お風呂に吊るしてみました。先ほどご紹介したブラウスをアイロンがけする前に撮影したものです。

まず、何もしていない状態がこちらです。

シワシワですね~!何十年も着古したような雰囲気が漂っています。

つづいて、9時間お風呂に吊るしたものです。

※明るさ、コントラスト、色合いが同じになるように加工しています。(撮影時間が夜と朝で違っていた為)

細かいシワがとれて、ゴワゴワしていたブラウスがふんわりした雰囲気になりました!まだシワはありますが、これでも着られそうな感じです。

けんじ
お風呂の蒸気、侮れないね!
なおみ
すごいね健ちゃん。こんなに簡単にシワがとれるなら、シルクも普段使いできちゃうかもね!

霧吹きをして陰干し

入浴して吊るしておく時間が無ければ、霧吹きをして影干しすることも出来ます。シミやムラにならないように、細かいミストになる霧吹きが良いですね。

また、新しい水に変えることも忘れないようにしましょう。

厚みがあり、肩幅に合ったハンガーを使う

ブラウスはハンガーに掛けて収納している方が多いと思います。畳まないのでシワができにくいのですが、ブラウスの肩幅に合ったハンガーを選ぶことが重要です。肩幅が合っていないと、おかしな部分にハンガーの跡がついてしまって、かえってシワや型崩れの原因になります。

身体は立体的なので、針金ハンガーよりも少し厚みのあるものを使うのが理想的です。肩の部分のシワが伸び型崩れも防げるので、美しいまま保管できます。

なおみ
ちょうど良いハンガーが見つからなければ、肩幅を調節できるハンガーが便利です。


引用:楽天

洗い方を工夫する

洗濯のときに少し気を付けるだけで、洗濯ジワを防ぐことができます!

洗う前に必ず洗濯表示を見て、水洗いOKか確認しましょう。水洗いできないものは、ドライクリーニングに出し、ドライクリーニングも出来ないものは、洗濯自体ができないので極力汚さないように丁寧に着用しましょう。

シルクの洋服の洗い方
  1. おしゃれ着用洗剤を使う
    (無い場合は、ぬるま湯にシャンプーを溶かして手洗い)
  2. 手洗いか洗濯機の「おしゃれ着洗いコース(ドライコース)」で洗う
  3. 洗濯ネットに入れて、30秒ほど軽く脱水する
    (もしくは、大きめのタオルで上下をはさんでタオルドライ)
  4. 脱水が終わったらすぐにとり出す
    (水が滴っているくらいでも大丈夫です。自重でシワが伸びます
  5. 干す前にシワを伸ばす

シルクの洗い方については、きちんと洗濯出来ていますか?素材別洗濯方法を知って長持ちさせよう!でも説明しているので、ご覧ください。

ブラウスをアイロン無しで着る方法があるんです!面倒臭いアイロンかげから卒業! アイロン無しでブラウスを着る方法をどうぞ参考になさってください。

 

お気に入りはクリーニングへ

シルクは自宅でも洗えるものもありますが、高価なものやお気に入りのものはクリーニングに出す方が安心です。水洗いできるものでも、色落ちしてしまうことがあるからです。

また、シーズンに1度はクリーニングに出してプロに仕上げてもらうのも良い方法です。そうすることで汚れをしっかり落とすことができ、洋服が長持ちします。

ブラウスはYシャツと違い、機械ではなく手作業でアイロンをかけるところが多いので、立体的に美しく仕上がるのも嬉しいですね。

なおみ
自宅洗いとクリーニングを使い分けると良いんですね。

 

失敗したときの対処法

細心の注意を払っていても、失敗してしまうことがあるかもしれません。

心が折れてしまいそうですが、まずは対処方法を試してみましょう!

アタリ

高温で力強くアイロンがけすることによって、生地の表面が光ってしまう現象です。

アタリが出てしまった場合は、

  1. あて布の上からアイロンのスチームを浮かせた状態で当てる
  2. デリケート生地専用の柔らかいブラシで優しくブラッシング(生地を傷めない程度に)
  3. ハンガーにかけ、影干しする

ブラッシングすることによって、潰れてしまった繊維が起きあがり表面に凹凸ができるので、アタリを改善できます。

使うブラシはこのようなものがいいでしょう。


引用:Amazon

馬のしっぽやたてがみで作られたカシミヤ・シルク専用のブラシです。柔らかい馬毛をたくさん使用しているので、デリケートなシルクにも負担をかけずにブラッシングできます。

アタリやテカリの直し方は、大切なスカートのテカリ、アイロンで簡単に直しちゃいましょう!でも説明していますので、参考になさってください。

水染み

スチームや霧吹きの水滴がポタっと落ちてシミになってしまうこともあります。

水染みが出来てしまったら、

  1. 水染みとその周りに霧吹きをする(細かいミストになるものが良い)
  2. おしゃれ着用洗剤を水染みの上に薄くのばし、水染みの周りにも広げ軽くこする
  3. 洗剤をタオルでふき取り、陰干しする

シミの状態によっては、霧吹きをかけて乾かすだけで染みが消えることもあります。

ぜひ、段階的に挑戦してみてください。

焦げ

高温で数分間アイロンを当てなければできませんが、もし焦げを作ってしまったら「もうおしまいだ~」と諦めずにこちらを試しましょう!

  1. 焦げてしまった部分を霧吹きで湿らせる
  2. その上からオキシドール(薬局で買えます)を刷毛で塗る
  3. オキシドールが乾く前に、また塗るという作業を繰り返す
  4. 焦げが薄くなり、焦げが消えてきたら陰干しする
  5. 低温でアイロンがけをして、仕上げる

自宅で出来る応急処置についてご紹介しましたが、重症のものなら手を加えずクリーニング店に相談する方が安全です。手を加えてしまうと、修復できるものも出来なくなることがあります。

個人のお店なら、技術のある方が受付してくださっている場合があるので、修復可能かどうか一度プロに見てもらうのも良いかもしれません。

 

まとめ

  • アイロンは必ず低温~中温で、生地の裏から
  • 生地の表には「あて布」を使う
  • シワを作らない工夫をする
  • 失敗したら、対処法を試す
  • お気に入りはクリーニング店へ

シルクは正しい扱い方を知っていれば、普段使いもできる素晴らしい素材です。

シルクよりデリケートな生地は多くないので、シルクのブラウスを上手に仕上げられるようになれば、洋服のアイロンがけなんて朝飯前です~となるに違いありません。

シルクのブラウスをさらっと着こなして、周りが振り向く素敵な女性になっちゃいましょう!

なおみ
今までシルクは敬遠してきたけれど、私は仲良くなれました!
けんじ
良かったね、直美。(今度シルクのブラウスをプレゼントしようかな…。)

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