やりたくない家事ナンバーワン『食器洗い』。
家事の中で水に手を浸す時間が長く、洗剤も使うため手が荒れやすいのが食器洗いです。しかもその回数も家事の中で断トツでしょう。
食事は1日3回のところが多いと思いますが、煮物を煮詰めている間に使用したまな板や包丁を洗ったり食後に鍋や皿を洗ったり、もしかしたら3時のおやつの前後にも食器洗いがあるかもしれません。そんな家事の中でも回数の多い食器洗いですが、なぜ行っているのでしょうか?
『食器が汚れたから』
この回答をする方が多いのではないでしょうか。もちろん、汚れたものをきれいにするのは重要なことです。しかし、それ以上に重要な役目が食器洗いには存在するのです。
それが今回のテーマ『除菌』です。見た目はきれいになっていても、果たして除菌はどのくらい行えているのでしょうか。大事な人の口に一番近いものだからこそ、菌が繁殖する理由も関連づけながら除菌のコツを掴みましょう。
目次
菌
菌と一口に言っても様々な種類があります。その中には納豆菌や酵母菌、乳酸菌など体に害がなくむしろ好まれて食べられている菌もあります。秋の味覚、きのこも菌類です。除菌という言葉もよく耳にしますが、そもそも菌とは何なのでしょうか。食べられる菌と食べられない菌の違いとは一体何なのでしょう。
菌とは
科学が発達し、様々な菌類(きのこに似た生物)が見つかってそれらも含め、菌と呼ぶようになったとされています。菌は大きく3種類に分けることができます。
- 真核菌(ユーカリオタ)
動物や植物、きのこ、カビなど体を構成する細胞の中に細胞核をもつ生物を示します。 - 細菌(バクテリア)
大腸菌、乳酸菌などの腸内細菌や発酵細菌、病原細菌などがあります。 - 古細菌(アーキア)
メタン菌、高度好塩菌など、地球上のバイオマス20%を占めています。
難しい話になってしまいましたが、つまりは菌とは生物のことで、私たち人間を構成している物質の中にも菌はいるということなのです。
食べられる菌と食べられない菌の違い
食べられるか否か、これの決定的な違いは人間が口にして害があったかどうかです。大昔、食べ物がなく飢えに苦しんでいたのか、はたまた興味本位だったのかはわかりませんが、私たちの祖先が口にして病気になったり死んでしまったりしたものを食べられない菌、体調に異変がなかったものを食べられる菌としたのです。
また、この中でも美味しくて何度も食べてしまうようなものは培養し増やして今でも食べられているのです。それが納豆やヨーグルトです。また、カビを植え付けて作るブルーチーズもこの一種です。
菌が増殖する理由
菌は何もないところでは増殖することはできません。食べ物と過ごしやすい環境があってこそ、そこに増えていきます。例えばきのこであれば、山の中など風通しが良く且つ木の葉の影など湿気のある場所でないと育ちません。食べ物は木や葉の枯れたところに発生するバクテリアなどを好むので、まさに山の中などが成長するのに最適な場所と言えるのです。
他の菌も餌と過ごしやすい環境というのは似たようなもので、水分・栄養・温度この3つが揃ってしまえば体に良い菌も悪い菌も爆発的に増殖します。
逆を言えば、乾燥していて食べ物がなくて菌が苦手な温度にすれば、殺菌できるということなのです。菌が苦手な温度は10度以下と60度以上だと言われています。
汚れを落とす食器洗いと除菌する食器洗い
あなたはどうやって食器を洗っていますか?間違った方法で食器洗いをしていると、汚れは落ちても菌が残ってしまいます。どうすれば除菌できるのか、洗い方を比較しながら検証してみましょう。
水だけで洗い流す
みんなが寝静まった深夜、不意に乾いた喉に気づいて目を覚ましました。キッチンへ行きコップに水をついで、喉へ流し込みます。潤った喉を確認してコップを・・・。
そのコップ、水でサッと流しただけで洗ったつもりになっていませんか?「水を入れるのに使っただけだし、水に潜らせれば大丈夫!」そう思っている方も少なくないと思います。
しかし、実は菌はあなたの口の中にも潜んでいるんです。その菌は水だけでは洗い流すことができないので、コップに菌が付着してそのままになってしまうのです。
口の中にいる菌は、全てが悪い菌というわけではありません。中には人間が生きていくのに必要な菌もいます。しかし、体外に出たそれらの菌は空気中にいる人間に害を及ぼす菌を増やす原因にもなるのです。しっかりと洗剤を使って洗い流しましょう。
つけ置き洗い
夕飯にカレーを作ったら、鍋にべっとり残りかすが残ってしまいました。食後にキッチンへ子供が持ってきてくれたお皿やスプーンにはご飯とカレーでできた汚れがしっかり付着しています。こんな時、あなたはどうやって洗いますか?我が家では決まってつけ置き洗いをしています。
しかしこのつけ置き洗い、一歩間違えると汚れは落ちたのに菌の巣窟になってしまいかねないのです・・・。例えばカレーを調理後の鍋に、水を溜めて一晩放置すると菌は数万倍にも増えてしまいます。
先ほど挙げた菌が繁殖するのに必要な項目が3つありましたが、逆にその3つさえ抑えておけば、菌の増殖を防ぐことができます。水分はつけ置きの性質上、なくすことはできませんが後の2つは改善することができます。
栄養については、つけ置きする前に水で洗い流すだけで格段に減らすことができます。食べ物の残りかすをそのままにしてしまうと、それは菌に栄養を与えていることと等しくなってしまいます。つけ置きの前に少しスポンジや指で擦って、食べ物のかすを水で洗い流してからつけ置くように心がけてみましょう。
温度については、菌が最も好むのは30 〜 40度だと言われています。10度以下、60度以上は繁殖しにくいので、つけ置きのタイミングで鍋を冷ましておき冷水を使うだけでも繁殖を防ぐことができます。
これらを注意するだけでも菌の繁殖はかなり防げますが、もう一つ確認しておきたい項目があります。それは時間です。つけおき時間が長くなればなるほど、菌が繁殖するリスクが高まります。
汚れの度合いにもよりますが、1〜3時間つけ置くだけでも汚れは落ちやすくなります。可能であれば一晩おかずに、その日のうちにつけ置きした食器を洗いましょう。
洗剤を使って洗う
最も多い洗い方がこの洗剤をつけて手洗いをする方法だと思います。スポンジに水をたっぷり含ませて、洗剤を使ってお皿に擦り付けて汚れを落とす・・・。きっと誰もがやったことのある洗い方だと思います。しかし、この洗い方にも菌が繁殖する落とし穴があるのです。大きく分けてその落とし穴は2つあります。
1. 薄まった洗剤
1つ目は薄めて使っている洗剤です。原液より薄まってしまった洗剤は、本来の除菌の効力を失ってしまっています。そのため、スポンジにつけて擦っても汚れは落ちても除菌ができていないのです。
泡立ちを良くするために最初、スポンジに水を含ませると思います。実はこの水が洗剤を薄めてしまっているのです。また、食器も洗う前に濡らすと思いますがその時に付着した水滴も洗剤を薄める原因の一つです。
かといって水を全くつけなくても泡立たず、洗浄力が落ちてしまいます。水のちょうど良い加減は、たっぷり濡らして、片手でギュッと絞った程度です。滴るほどの水がなくても洗剤はしっかり泡立ちます。絞ったところに洗剤を垂らし、洗ってみましょう。泡立ちもよく、除菌効果を発揮してくれます。
おすすめは泡立ちよく、除菌効果が高い洗剤です。私のオススメ商品を3つ程あげておくので、よかったら参考にしてみてください。
泡立ちが良く、油ものやフライパンなどの大物を洗っても泡切れしにくいです。水切りも早く、乾燥するのが早いため食器洗い後も片付けまでスピーディーに行えます。香りも良いので食器洗い中の嫌な匂いも気になりません。
泡立ちが良く、食器洗いがスムーズに進みます。液タイプと泡タイプがあり、油汚れの際は泡タイプを吹きかけておくと汚れが落ちやすいと感じました。他の洗剤と比べて手荒れがしにくいように感じます。食器洗いの回数が多い方や肌が弱い方は特に使いやすいと思います。
洗剤の量が少なくてもしっかり泡立ち、食器を洗うことができます。泡の持続も長いので、追加で洗剤をたすことも少なくて済みます。香りもフワッと香る程度で鼻につかないです。
使い比べてみて、私にあっていると感じたのはキュキュットでした。元々肌が弱く、食器洗い後手荒れを起こして秋冬は手が真っ赤でしたが、この商品を使っている間は赤みも引き手荒れも少ないように感じたからです。
洗浄力を重視するのであれば、ジョイがおすすめです。数滴の洗剤でもしっかり泡立ち、簡単に汚れが落ちます。油などの頑固な汚れには特に効き目が良かったです。
食器洗いの時短をしたい方にはチャーミーが使いやすいと思います。泡立ちが良いだけでなく水切りも早いので、食器を拭く時間を短くすることができました。
2. 雑菌が繁殖したスポンジ
落とし穴2つ目はスポンジです。食器洗いをする時に除菌効果がある洗剤を使っているし、スポンジは食器洗いしている間に除菌できてるかな・・・とそのままキッチンの流し台に放置した結果、翌日スポンジから恐ろしい匂いが!なんてこと今までに経験ありませんか?
この匂い、実は菌が繁殖してしまっている証拠なんです。そしてそのスポンジをそのまま使い続けてしまうと、せっかく綺麗にしようとしているのに逆に食器に雑菌を擦り付けてしまうのです。
スポンジも工夫一つで殺菌することができます。簡単な方法と少し手間がかかる方法がありますが、どちらか一方でもやれば激変します。
- 水で濯いで食べ物のかすをおとしてから片手でギュッと絞る。
- 洗剤を垂らし、泡立たせながら揉み込む。
後は次使う時までそのまま放置しておけば除菌できます。食器洗いをした後のスポンジは食べ物のかすがついたままなので菌が繁殖しやすい環境になっています。いくら食器洗いに除菌効果がある洗剤を使っていても、何枚も食器を洗っている間に薄れてしまうのでスポンジを除菌するほどの効力が残っているとは言い切れません。
- 水で濯いで食べ物のかすをおとしてから片手でギュッと絞る。
- 洗剤を垂らし、泡立たせながら揉み込む。
- 水でよく濯いで洗剤を流し、風通しの良いところで乾燥させる。
日に当たらなくても、しっかり風通しの良いところでカラカラになるまで乾燥させるのがコツです。こちらは1日で乾燥しきれない場合もあるので、2つほどローテーションで使うとうまい具合に乾燥させることができます。スポンジの寿命は2〜3週間ほどなので、その期間を目安に新しいものと交換して使用してみてください。
食洗機に代行を頼む
引用:Panasonic
食洗機って楽チンですよね。使ったお皿を中にポンと置いて、ボタン一つで洗って綺麗にしてから出してくれる画期的な家事お手伝い電化製品です。
しかし、汚れたまま入れると洗い残しや食洗機の汚れの原因になってしまいます。可能であれば、水で汚れを洗い流したりキッチンペーパーなどで拭き取ってから入れるようにしましょう。
また、手洗いでも落としにくいような焦げつきやこびりつきなどは、つけ置き洗いなどで予洗いすると食洗機への負担も軽減されます。つけ置き洗いについては面倒な食器洗いをもっと楽にする!今すぐできるちょっとした工夫や手強い汚れは放ったらかすのが一番!?食器洗いはつけ置きで簡単に!もどうぞ。
食洗機は50 〜 80℃という高温の洗浄液を高圧で噴射して食器の汚れを落としてくれるため、汚れ落としだけでなく殺菌効果も期待できます。こちらのPanasonicの食洗機は除菌効果がかなり高いですよ。
少し面倒ですが、予洗いをするだけで汚れの落ち具合・食洗機の長持ち度・除菌力全ての効果が変わってくるので、ぜひ試してみましょう。
また、食洗機は定期的にお手入れしてあげると洗浄力もそのままに長持ちしてくれます。食洗機には『お手入れコース』のボタンが付いているものも多くあります。もちろんこのボタンを押すだけでも食洗機の内部を勝手に綺麗にしてくれますが、この時クエン酸を大さじ3杯入れてあげるとさらに洗浄力がアップします。
『お手入れコース』のボタンがない場合はすすぎの温度を高くしたり、長い時間洗浄できるコースを使用すると食洗機内を綺麗にしてくれます。
まとめ
- 菌が増殖するポイントは『水分・栄養・温度』
- 水だけでは殺菌できない
- つけ置き洗いは予洗いをして短時間で
- スポンジも除菌が必要
- 食洗機の高温を使った殺菌力も頼る
菌が好むものを知れば、自ずと苦手なものがわかります。苦手なものさえ抑えることができれば、増殖を防ぎ食中毒を防ぐことができます。簡単な方法ばかりなので、ぜひ実践してみてください。