洗濯や掃除などで使う機会も多い漂白剤。でも、意外にその漂白剤が塩素系か酸素系かなんて意識していなかったりしませんか?だって、パッケージに「色柄物でも洗える!」「まぜると危険!」などとちゃんと書いてありますもんね。意識しなくても使いこなせてしまいます。
塩素系とか酸素系とか、聞いたことはあるけどいったい何がどう違うのか、どう使い分ければいいのかよくわからない方も多いと思います。漂白剤にもいろいろあり、それぞれ特徴も違います。それぞれの漂白剤の特徴を知ることで、洗濯や掃除の失敗もなくなり、効果的に使いこなせるようになりますよ。
今回は酸素系漂白剤と塩素系漂白剤の違いや特徴、キッチンでの漂白剤の使い方についてご紹介したいと思います。
目次
漂白剤の種類
洗剤は汚れを浮き上がらせて落とすのに対し、漂白剤は化学反応で色素を分解します。化学反応の仕方で漂白剤は還元型と酸化型の2つに分けられます。
還元型は汚れから酸素を奪い取って白くします。それに対し、酸化型は汚れを酸素と結び付けて酸化させることで白くします。
私たちが普段漂白剤と呼んでいて馴染みのあるのは、後者の酸化型の漂白剤です。酸化型漂白剤には塩素系と酸素系があり、さらに酸素系には粉末タイプと液体タイプがあります。
- 還元型…汚れから酸素を奪い取ることで色素を分解
● 還元系漂白剤 (主成分:二酸化チオ尿素 / 弱アルカリ性) - 酸化型…汚れと酸素と結びつけることで色素を分解
● 塩素系漂白剤 (主成分:次亜塩酸ナトリウム / アルカリ性)
● 酸素系漂白剤
◦粉末タイプ (主成分:過炭酸ナトリウム / 弱アルカリ性)
◦液体タイプ (主成分:化炭化水素 / 弱酸性)
還元系漂白剤
あまり馴染みがないかもしれませんが、業務用として使われることが多く、鉄さびや赤土など鉄分を含んだシミや、塩素系漂白剤で黄色く変色してしまった衣服の黄ばみを白くする効果があります。
ただ、除菌・殺菌力はなく、水洗いできる白物の繊維にしか使えません。
引用:楽天商品ページ
塩素系漂白剤
「まぜるな危険!」のやつです。酸性のものとまぜると有害なガスが発生するので注意が必要です。
キッチン、衣類、バス、トイレ、カビ取り用などラインナップも多彩な花王の「ハイター」が有名ですね。
引用:楽天商品ページ
泡で落とす「キッチン泡ハイター」も塩素系漂白剤です。
引用:Amazon商品ページ
他には「キッチンブリーチ」などがあります。
引用:Amazon商品ページ
「ハイター」は花王が商標登録して使っている商品名で「キッチンブリーチ」は花王以外の製品です。どちらも成分はほぼ同じです。
強いアルカリ性なので生地を傷めてしまう恐れがあり、綿・麻・ポリエステル・アクリル以外のものには使えません。また、色落ちしてしまうので色柄物には使えません。白いものを元の真っ白にしたい時に使いましょう。
漂白力もさることながら、ノロウイルスも殺せるほどの除菌・殺菌力もあります。
酸素系漂白剤 【粉末タイプ】
引用:Yahoo!商品ページ
主成分の「過炭酸ナトリウム 」は溶かすと酸素が出ます。この酸素が汚れを分解してくれるんです。この時、水よりお湯の方が酸素がたくさん出るので、40~50℃のお湯を使うと効果的です。
漂白力や除菌・殺菌力は塩素系にはかなわないものの、繊維を傷めずにシミや汚れを落としてくれます。色柄物や合成繊維にも使えますが、デリケートな毛や絹などの動物性繊維のもの、水洗いできないもの、金属には使えません。
弱アルカリ性なので、酸性の油汚れもよく落ちます。洗濯、キッチンや家の掃除など幅広く使えるので、家庭にひとつあると便利かもしれません。グラフィコの「オキシクリーン」や花王の「ワイドハイターEX粉末タイプ」、シャボン玉石けんの「酸素系漂白剤」などいろいろな商品が出ています。
引用:Amazon商品ページ
引用:Amazon商品ページ
引用:楽天商品ページ
酸素系漂白剤 【液体タイプ】
同じ酸素系でも粉末タイプに比べ洗浄力は低いですが、逆に刺激が少なく痛みにくいので、失敗が少なく扱いやすい漂白剤です。色柄物やデリケートな毛や絹など動物性繊維にも使うことができます。衣類やタオルの防臭もできるので、洗濯で使われることが多いです。
有名なところでは、花王の「ワイドハイター」やライオンの「手間なしブライト」などがあります。
引用:楽天商品ページ
引用:楽天商品ページ
塩素系漂白剤と酸素系漂白剤、どう使い分ける?
液体タイプの酸素系漂白剤は洗濯に使われることが多いので、キッチンでは塩素系漂白剤か粉末タイプの酸素系漂白剤のどちらかを使うことが多いです。
何を漂白・除菌したいかで塩素系か酸素系どちらを使うか選びましょう。
漂白力・除菌力ともに塩素系漂白剤の方が上です。しかし、ダメ―ジも強く使用できないものも多いです。それに対し酸素系漂白剤は漂白力・除菌力は劣るものの、身体や環境にやさしく、使用できるものも多くなります。
- 水洗いできるものや場所
- 白物繊維(綿、麻、ポリエステル、アクリルのみ)
- プラスチック製品(メラミン除く)
- シリコン製品
- ナイロン製品
- 人工大理石
- 陶器
- ガラス
- 木、竹
- 水洗いできないものや場所
- 色物・柄物
- デリケートな繊維(毛・絹・ナイロン・ポリウレタン・アセテートなど)
- 金属製のもの
- メラミン食器
- 漆器
- 獣毛のハケ
- 食品
- 塩素系は使えないと表示にあるもの
あたり前ですが、塩素系漂白剤が使えないものは酸素系漂白剤を使います。しかし、塩素系漂白剤が使えるからといって、必ず塩素系漂白剤を使った方がいいわけでもありません。
塩素系漂白剤は臭いも強く(プールのあのツーンとした臭いですね)身体への負担も強いですが、酸素系漂白剤は食品添加物と同じ成分なので、口に入れても無害ですし、環境にもやさしいです。
ですから、小さいお子さんがいたり、なるべくエコなものを使いたい方は酸素系漂白剤を使い、汚れがひどい時やしっかり殺菌・除菌したい時は塩素系漂白剤と使い分けるといいのではないでしょうか。
塩素系漂白剤に比べて漂白力・除菌力が低いとはいえ、酸素系漂白剤でも普段の生活では十分効果は得られますよ。
漂白剤を使ったキッチン掃除
キッチンでは基本的に塩素系漂白剤か酸素系漂白剤【粉末タイプ】を使います。
ふきんの漂白・除菌
濡れた状態なことが多く雑菌が繁殖しやすいふきんは、漂白剤を使って除菌しましょう。
- 水orお湯に漂白剤を溶かし、ふきんをつけ置きする
- しっかり水ですすぐ
食器の茶渋とり
コーヒーカップや湯飲みの茶渋、スポンジでは洗いにくくて、黒くなりがちな水筒のふたなどをつけ置きするときれいに汚れが落ちます。
- 水orお湯に漂白剤を溶かし、食器をつけ置きする
- しっかり水ですすぐ
まな板の漂白・除菌
まな板は毎日洗っていても、食材の色がついて取れなくなってしまいます。また、食材が直接触れる場所なので、消毒・除菌には特に気をつけたいですよね。
- キッチンペーパーorふきんを水orお湯で薄めた漂白剤に浸して、まな板に湿布する
- 30分ほどおいてしっかり洗い流す
排水口の掃除
できれば触りたくない排水口のヌメリやカビも漂白剤を使えば簡単にきれいにできます。
- ビニール袋に水orお湯と漂白剤を入れる
- 1の中に排水口のパーツを入れてつけ置きする
- しっかり水ですすぐ
換気扇の掃除
換気扇の掃除には酸素系漂白剤を使います。酸素系漂白剤の主成分過炭酸ナトリウム は油汚れやカビに効果的なので、換気扇の掃除にも向いています。酸素系漂白剤を使った換気扇の掃除方法はこちらを参考にしてみてください。
食洗機の洗剤として
粉末タイプの酸素系漂白剤は食洗機用洗剤の代用としても◎。食器の汚れやくすみもすっきり落ち、庫内のこもった臭いも消してくれます。
- 食洗機の中に酸素系漂白剤を入れる
- 食洗機のスイッチを入れる
シンクのサビ
ステンレスのシンクについたサビや水切りラックなどについたサビは、還元系漂白剤を使って落としましょう。
- 還元系漂白剤をたっぷりふりかける
- 水を含ませたメラミンスポンジで軽くこする
まとめ
- 漂白剤には還元系漂白剤、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤(粉末タイプ)、酸素系漂白剤(液体タイプ)がある
- それぞれ漂白力や除菌力が違い、使えるものも違う
- 塩素系漂白剤は漂白力・除菌力は強いがダメージも大きい
- 酸素系漂白剤【粉末タイプ】は人体にも環境にもやさしく、洗濯、掃除と幅広く使える
- どの漂白剤を使うかは何を漂白・除菌したいかで選ぶ
ひと言で漂白剤といってもいろいろありますね。同じ漂白剤でも、こんなにも特徴や使い方が違ってくるんですね。今まではよくわからずに使っていたかもしれませんが、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤を生活の中で上手に使い分けてみてください。