肌寒い春や秋、そして真冬にも使える汎用性の高いコートは、誰もが一着は持っているアイテムです。
長く着るうちにだんだんと汚れてきて「そろそろ洗濯したいな」なんて思っても、Tシャツやインナーなどと違って頻繁に洗濯するものではないからこそ洗濯の仕方がわからないということもありますよね。
ですがコートは、生地に使われている素材によっては洗濯できないものや、間違った洗濯方法で洗濯すると生地が縮んでしまうものも。
そんな悲しい事故を防ぐために、今回はコートの生地の素材として使われることの多いポリエステルとレーヨンについて、素材の特徴と洗濯方法を解説していきます!
目次
素材の特徴を知ろう!
ポリエステル、レーヨンともにコートに限らず衣類の素材として使われることの多いものですが、その特徴には大きな違いがあります。どちらが優秀というわけではなく、それぞれメリットとデメリットがありますので、まずは素材の特徴を詳しく見ていきましょう!
ポリエステル
- しわになりにくい
- 速乾性がある
- カビや虫に強いので保管が簡単
- 耐久性が高く洗濯に強い
衣服をはじめとして生活の様々な場面で活躍するポリエステル。「しわになりにくい」ことは、衣服の一番外側に身に付けるコートにとってとても重要なポイントですね。しわが付きにくいということは仕事などで何度も着たり脱いだりするような時にも役立ちますね。
- 吸湿・吸水性が低い
- 静電気が発生しやすい
- 毛玉ができやすい
- 色移りする可能性がある
吸水性が低いというデメリットがありますが、裏を返せば多少の水ははじいてくれるということなので、ちょっとした雨の時でも神経質にならずに済みます。温かくなってきた頃に重宝するスプリングコートなどにも良さそうですね。
レーヨン
- 吸湿性に優れている
- さらっとした手触り
- シルクに似た光沢感
- 涼感があり夏でも涼しい
レーヨンとは絹に似せて作られた化学繊維で、とても柔らかくエレガントな印象を与えてくれます。チャイナドレスなどつるつるした触り心地のお洋服によく使われる素材です。コートでは、裏地に使われることが多いですね。レーヨンは吸湿性・放湿性に優れているので夏でもさらっと着ることができます。
- 水に弱く縮んでしまう
- 摩擦に弱くしわが出来やすい
水分を吸いすぎると繊維が膨張し、繊維同士の間隔が狭くなることで縮んでしまいます。その縮み加減はなんと洋服のサイズがワンサイズ以上変わってしまうほどです。
レーヨン製のコートを選ぶなら、ハレの日など特別な時に着る用にすると良さそうですね。
素材別の洗濯方法!
たくさんの違いがあるポリエステルとレーヨン。もちろん洗濯方法にも違いがあります!特にレーヨン製のコートには注意するべき点がいくつかあるので、一つずつチェックしていきましょう!
初めに確認してほしいこと
ポリエステルとレーヨン、それぞれの洗濯方法を見ていく前に、確認してほしいことが一つあります。
それは、衣服のタグについている洗濯表示表!
衣服のタグにはたくさんの情報が載っています。どこで作られたのか、どんな素材でできているのか、そしてどんな方法で洗濯すればいいのか。
この後ご紹介するポリエステルとレーヨンの洗濯の仕方は、あくまで素材の特徴に則った洗濯方法です。たくさんのこだわりが込められたお洋服は、もちろん簡単に洗濯できるものもありますが、例外もたくさんあります。そのため、まずはタグを見てお洋服一つ一つの情報を確認してください。そのお洋服を作った人の言うことが、一番信用できますからね。
ポリエステル製コートの洗濯方法は?
ポリエステル製のコートは洗濯可能なことがほとんどです。しわになりにくい・繊維が丈夫などの特徴があるおかげですね。なので、ポリエステル製のコートはご自宅の洗濯機で洗うのがおすすめです!
もちろん商品によっては洗濯不可の場合もありますので、洗濯表示を必ず確認してください。
ご自宅で洗濯する場合のポイントはこちら。
- 洗濯ネットに入れる
- コートを裏返しておく
- 色の濃いお洋服とは一緒に洗濯しない
- 脱水は短めにする
一つずつ解説します。
①洗濯ネットに入れる
洗濯ネットに入れるのは、コートの型崩れを防ぐためです。
ポリエステルは耐久性が高く型崩れしにくい素材ですが、それでも洗濯機の強い衝撃というのは、お洋服にダメージを与えます。コートはピシッと綺麗なフォルムが保たれていないと周りに悪いイメージを与えてしまいますので、なるべく洗濯ネットに入れるようにしましょう。
②コートを裏返しておく
ポリエステルのデメリットの一つに毛玉ができやすいという特徴があります。
毛玉は、繊維同士の摩擦で繊維が丸く絡んでしまうことでできます。普通に着て生活しているときはもちろん、洗濯機の中で他の衣服と摩擦が起きることでも毛玉はできてしまうので、裏返してネットに入れてコートの表側の繊維を守ってあげましょう。
③色の濃いお洋服とは一緒に洗濯しない
洗濯中にお洋服の染料が溶け出してしまったり、脱水中に強い遠心力が加わることによって色移りしてしまうことがあります。特にベージュなど薄い色のコートは、一緒に洗濯したお洋服の色が移ってしまうと、かなり目立ってしまいます。そうならないよう、色の濃いものとは分けて洗濯するようにしましょう。
④脱水は短めに
脱水中の遠心力も、毛玉の大敵です!なるべく生地同士が擦れあう時間を短くするために、脱水は短めにしましょう。具体的には、3分くらいまでがベストと言われています。
確かに脱水3分ではあまりお洋服の水分を落とすことはできませんが、ポリエステルには乾きやすいという特徴があるので安心してください。また干すときは、型崩れを防ぐために太くて安定感のあるハンガーにかけ、直射日光を避けて干すようにしてください。
レーヨン製コートの洗濯方法は?
レーヨンはとても水に弱くデリケートな素材です。洗濯表示も「水洗い不可」もしくは「手洗い可」の表示になっていることが多いですね。
なので、基本的にレーヨン製のコートはクリーニングに出すことをおすすめします。
ですが、100%自宅で洗うことができないというわけではありません。水洗い可の表示があるものなら、いくつかのコツをマスターすれば自宅で洗濯することも可能です!
そのコツとは、こちら。
- 必ず手洗いで洗う
- ドライクリーニング専用の洗剤を使う
- 水につけている時間はできる限り短く
①必ず手洗いで洗う
レーヨンのようなデリケートな素材に洗濯機の強い衝撃は絶対NGです!縮んだり、型崩れする原因になります。必ず手で、なるべく強い力を加えないようにして洗いましょう。揉み洗いは避け、やさしく押し洗いしてあげるのが、お洋服を傷つけないポイントです。
②ドライクリーニング専用の洗剤を使う
そもそもドライクリーニングとは、水洗いができない素材を洗うための特別な洗濯方法です。ドライクリーニングでは、特殊な溶剤(油)を使って汚れを落としています。
ですが、ドライマークが付いている素材でもドライクリーニング専用の洗剤を使うと自宅で洗濯することができます。ドライクリーニング専用の洗剤は、短時間で汚れを落とせる洗浄力が強めのものを選びましょう。また風合いを損ねないように、蛍光増白剤が入っていないものを選ぶと安心です。
ハイベック エースドライ
引用:amazon
こちらは、ちょっとお値段は張りますが、洗濯通の方たちからも高評価を受けてます。これ一つあれば、ほとんどものが洗濯できるようになります。
③水につけている時間はできる限り短く
レーヨンにとって最大の敵はとにかく水分!できる限り水につけている時間は短くしましょう。
具体的には、洗剤を入れて汚れを落とす「洗い」の時間は1~2分ほど、洗浄液から取り出して「すすぎ」の時間は1分ほど、そして「脱水」はバスタオルなどで優しく抑えて水気を取る程度にしてください。
脱水の終わったレーヨンは少しゴワゴワとした触り心地になりますが、きちんと干してアイロンをかければさらっとした手触りを取り戻しますので安心してくださいね。アイロンをかける際は、洗濯表示の指示に従うようにしましょう。
混合素材の場合の洗濯方法は?
コートの素材が必ずしも一種類の素材でできているとは限りませんよね。合成繊維同士が混ざっている場合、天然素材と合成繊維が混ざっている場合なども考えられます。
その時にチェックしてほしいポイントはこの二つ。
- 一番多く含まれている素材は何か?
- 極端に洗濯に適さない素材が入っていないか?
①一番多く含まれている素材は何か?
混合素材の場合、その配合のパーセンテージが洗濯表示と共にタグに明記してあることがほとんど。まずはその表示を見て、一番多く含まれている素材に適した洗濯方法を選ぶようにしましょう。例えば「綿90%、ポリエステル10%」と書いてある場合には、綿に適した洗濯方法を選べば失敗は少なくなります。
また、たくさんの素材が混ざっていて判断しにくい場合や、「自宅で洗濯して失敗したらどうしよう」と不安に思う場合は、迷わずクリーニングに出してしまうのが安心です!
クリーニング屋さんは、洗濯のプロです。衣服のためにも、心の安心のためにも、迷わずプロの力を頼るといいでしょう。
②極端に洗濯に適さない素材が入っていないか?
生地に配合されているほとんどの素材が洗濯可能でも、その中に洗濯に適さない素材が混ざっているという場合。そのような場合には、その素材が生地全体に悪さをしてしまう可能性があります。今回のレーヨンも、水に弱いという点で洗濯に適さない素材の一つですね。
配合の割合にもよりますが、水に弱い素材などが多めに配合されている場合は、自宅でも洗濯は避けるのがベター。10%ほどと少ししか入っていない場合でも、心配ならクリーニングに出すようにしましょう。お気に入りのお洋服が自分の誤った洗濯方法で着れなくなってしまったら、悲しいですからね。
最近は、クリーニング屋さんに持っていくだけでなく、お家まで取りにきてくれる宅配クリーニングサービスもたくさんあります。クリーニングに出したい服があるけれど外出の時間が取れないという時などは、ぜひ検討してみてくださいね。
まとめ
- ポリエステルとレーヨンは素材の特徴に大きな違いがある
- ポリエステル製のコートは自宅で洗濯しても大丈夫
- レーヨン製のコートはクリーニングに出すのが安心
- 自宅で洗濯する場合は専用の洗剤を使う
- 洗濯前に必ず洗濯表示を確認する
少し涼しくなってきた秋口から厳しい寒さの冬を経て、昼間は温かいけれど夜は肌寒い春の初めまで、コートは長く活用できるアイテムです。
洗濯の仕方にこだわるのは、沢山悩んで決めたお気に入りのコートを長く綺麗に着る工夫の一つ。ご自宅で洗濯するとしても、クリーニングに出すとしても、普段からお洋服を大切に扱ってあげてくださいね。