ご主人にはジャケットをピシッと着ていてもらいたいですよね。でも毎回クリーニングに出すには家計に響くし、わざわざ外出するのも面倒です。だからといって、自分でアイロンをかけようと頑張っても、ジャケットって安いものでもないし、上手く出来るか不安ですよね?
また、アイロンをかける方法を調べていると、当て布をした方が良いってよく見ませんか?
今回は、「でも全部の服に必要なの?」とお悩みのあなたのために、ジャケットにアイロンをかける時の当て布の必要性についてご紹介します。
目次
アイロンがけのポイント
別の記事でも何度もお伝えしていますが大切なことなので繰り返し書きますね。
- アイロンの温度は生地によって変える
- 当て布を使う
- スチーム機能などで水分を含ませる
今回は2番目の当て布についてピックアップしてご紹介していきます。
でも、「実は当て布を当てなくても上手くやればなんとかなるんじゃないの?」と思っているあなた。
私も同じように思っていて当て布なしでアイロンがけをしたことがあるのですが、大失敗をしてしまいました。その時は私の安いアウターだったので諦めがつきましたが、主人のジャケットだったらと思うとゾッとしました。
そんな経験から、アイロンの当て布について実際に試してみた事をお伝えします。これからジャケットのアイロンがけをしようとしているあなたの役に立てればと思います。
アイロンがけで準備するもの
まずはアイロンがけの前に、一通りの道具を用意しましょう。
- アイロン(スチーム付きのもの。ついていなければ霧吹きで代用もできます)
- アイロン台 (座布団などで代用可能です)
- あて布
- ハンガー
- 袖万十(タオルで代用可能です)
アイロンがけの方法
アイロンがけについては別の記事でも紹介してますのでここではざっくりご紹介します。
- 洗濯表示で当て布の必要性と適切な温度を確認する
- スチームや霧吹きでジャケットを湿らせる
- 当て布を敷く
- アイロンをかける
- ジャケットが冷めるまで動かないように形を整えてハンガーなどにかけておく
ざっとこんな感じですね。ジャケットのアイロンについては自分でジャケットにアイロンをかけるときスチームはどうする?を、その他のアイロンについてはこちらをご覧くださいね。
その他ちょっとしたコツを紹介しますと、アイロンがけをする衣類の生地の種類がいくつか混在していたり、様々な種類の衣服をアイロンがけする場合は、温度ごとに生地を分けて低い温度のものから高い温度のものへ順番にかけていくとアイロンの温度調整をする手間が少なくなりますよ。
洗濯表示の確認
アイロンをかける準備ができたら、まず初めにジャケットの洗濯表示を確認しましょう。洗濯表示を見れば当て布が必要かどうかが表示されています。
服の裏などに付いている白いタグに書かれているこんな表示です。
このタグは基本的に服の左側に付いている事が多いですよ。
ジャケットの場合は内ポケットの中に付いていることもあります。
左右どちらかの内ポケットの中にあるので覗いてみてください。
生地の種類による違い
洗濯表示の書いているタグを見れば当て布が必要かどうかがわかります。
生地の種類に関係なく、アイロンマークの下に「~~~」マークがあったり、「当て布使用」等の文字があれば当て布を使いましょう。
洗濯表示を確認しても分からない場合や、洗濯表示がない場合は下記の表を参考にしてください。
天然繊維 | ||||
種類 | アイロンの適温 | 洗濯表示 | 当て布の必要性 | 溶融・分解温度 (参考) |
綿 | 高温(200℃)まで | 不要 | 235℃ | |
麻 | 中・高温(150~200℃)まで | 不要 | 200℃ | |
ウール | 中温(150℃)まで | 必要 | 130℃ | |
シルク | 低温(110℃)まで | 必要 | 150℃ | |
化学繊維 |
||||
種類 | アイロンの適温 | 当て布の必要性 | 溶融・分解温度 | |
ポリエステル | 中温(150℃)まで | 必要 | 238℃ | |
レーヨン | 中温(150℃)まで | 必要 | 260℃ | |
アクリル | 低温(110℃)まで | 必要 | 190℃ | |
ナイロン | 低温(110℃)まで | 必要 | 180℃ |
当て布の必要性は必ずテカらない事を保証するものではありません。特に色の濃いものや化学繊維については不要の記入があるものでも当て布をしないとテカる可能性があるので安全に考えて当て布を使った方が良いでしょう
当て布を使うときと使わないときの違い
アイロンをする時に当て布を使ったほうがいい事は今までも記事にしていますが、できれば使わずに楽をしたいと思ってしまいませんか?
なので、当て布を使った場合と使わなかった場合のメリットとデメリットをそれぞれ考えてみましょう。
使わなかった場合
- ジャケットが直接見えるのでアイロンを掛けやすい
- 手間がひとつ少なくなり、若干アイロンがけの時間が短くなる
- 色の濃い当て布を使った場合の色移りの心配がなくなる
- ジャケットがテカる可能性がとても高くなる
- 繊維やポケットにアイロンが引っ掛かる
- 必要以上に折り目が付く(ペタンコになる)
使った場合
次に使った場合のメリットとデメリットです。
- テカリを防げる
- 焦がす恐れが少なくなる
- 適度な折り目を付けることができる
- 繊維やポケットなどにアイロンが引っ掛かることを防ぐ
- アイロンをかける部位ごとに当て布を置き直す必要があるので手間が増える
- 若干ながらアイロンがけの時間が長くなる
- 使う当て布によっては生地が見えなくなるのでアイロンがかけにくい
- 使う当て布によってはジャケットに色移りしてしまう
こうやってメリットとデメリットをあげると確かに使わなかった場合は手間も減って楽ができますが、テカリを心配して恐る恐るアイロンを掛けると余計に時間がかかる上に、もし失敗した時に取返しがつかないリスクがあります。
当て布を使わない方が楽で簡単に思えますが、失敗するリスクを考えると、当て布を使った方が結果的には手間が掛からず楽になります。また、失敗を恐れずに思い切ってできるという気持ちの面も大きいですよね。
テカリができる原理
厳密にいうと一般的にテカリという現象はテカリとアタリに分けられます。
具体的な違いはこんな感じです。
テカリ
衣類を複数回着用すると身体の動きにより常に特定部分へ圧力、摩擦、張力、屈曲(折れ曲がる)などの負荷がかかります。つまり、着用により生地がつぶれる避けられない現象によるものを言います。アタリ
アイロンやプレス機の圧力で生地の表面の毛が寝たりつぶされるというような、仕上げに問題がある現象によるものを言います。< 中略 >
正常な衣服の状態とテカリ・アタリが発生している状態をイラスト化すると以下のようになります。
引用:東京都クリーニング生活衛生同業組合
テカリもアタリも原理は同じなんですが、発生原因によって使われ方が変わるんですね。
今回の話は厳密に言うとアタリになりますが、テカリという言葉の方が一般的かつ意味が通じやすいので、テカリで統一します。
アイロンの種類
ジャケットにアイロンがけするためのアイロンにもいくつかの種類があります。
アイロンの種類によって当て布の必要性にも違いがあるのかご紹介します。
- スチームアイロン
- ドライアイロン
- 衣類スチーマー
スチームアイロン
引用:Amazon
ドライアイロン
引用:Amazon
衣類スチーマー
引用:Amazon
基本的にアイロンの種類は上記の3つに分類されます。洗濯表示に当て布が必要と書いてあればどれも当て布が必要になります。
ただし、衣類スチーマーはハンガーに掛けたまま使用する事が多いと思います。その場合は、当て布を使いにくいので生地から浮かせて(生地とスキマを空けて)直接スチームを当てても大丈夫です。
基本的に当て布は衣類をアイロンの熱から守りテカリを防止する意味が大きいため、洗濯表示に「当て布必要」と書いていたり、当て布が必要な生地にアイロンがけをする場合は、アイロンの種類に関係なく当て布を使った方がいいでしょう。
当て布の種類
当て布にもいくつか種類があるのでご紹介します。
- メッシュ当て布
- アイロンカバー
- ハンカチ
- 手ぬぐい
- ガーゼ
メッシュ当て布
引用:Amazon
メッシュになっていて生地が見えますし、アイロンのすべりも良くなってアイロンがかけやすくなります。
若干固いので細かい部分のアイロンがけの時はハンカチやガーゼを使うといいでしょう。
アイロンカバー
引用:Amazon
アイロンに直接付けるタイプのものです。生地が隠れる心配は全くありません。
装着しにくかったり、コードレスアイロンには装着できないなどデメリットもありますが、付けてしまえばかなり便利です。
この他に、専用のものがなくても当て布として代用できるものもあります。
ハンカチ
わざわざ買わなくてもどの家庭にもありますよね。
濃い色の布を当て布に代用すると、色移りする可能性がありますので、できるだけ白などの薄い色のものを使ってください。
手ぬぐい
引用:Amazon
もしおうちにあれば手ぬぐいでも代用できます。あっても色が濃いものであれば無理して使わずに他の代用品を使うか専用の当て布を買いましょう。
ガーゼ
ガーゼは比較的小さめのものが多いので、袖などの細かいところには使いやすいです。
代用品を当て布として使う時は化学繊維のものは溶ける恐れがあるので、出来るだけ綿100%のものにしてください。
裏地に当て布が必要かどうか
ジャケットの裏地にもいくつかの種類があります。そもそも裏地が全体にある場合と、肩まわりの一部にしかない場合があります。
一部にしかない場合で裏地がない箇所はそのジャケットの表地と同じように当て布を使って下さい。
裏地が全体にある場合も生地の種類が下記のようにテカりやすいものを使っていることが多いので、テカっても目立ちませんが気になる場合は当て布を使った方がいいでしょう。
- ポリエステル
- シルク
- レーヨン
裏地は表地ほど神経質にならなくてもいいかと思いますが、表地を汚れや型崩れから守ってくれる役割もありますので、優しく扱ってあげて下さいね。
普段からできるテカリ防止策
衣類のテカリの原因はアイロンだけではありません。ジャケットの裾や肘、ズボンのお尻の部分など、圧力や引っ張りによって生地がつぶれることでも起こります。でも、着ている限り座る事もあるし、腕も曲げますよね。
テカリの防止策としては、毎日着用しない、着用したあとはブラッシングしてあげる。この2つだけでも日頃からケアしてあげればずっと長持ちしてくれますよ。
引用:Amazon
衣類ブラシってカッコ良かったり、オシャレなものが多いので持っていると使いたくなりますよ。一日着たジャケットをいたわってあげましょう。
テカッってしまったら?
テカる原因は、アイロン以外にもあることはご紹介しました。あなたが当て布を使ってアイロンがけしていても、ご主人が着ている時に擦れたり押さえつけられたりすることで発生するテカリは防ぎようがありません。
そうなった時にできる対処方法もご紹介します。
ブラッシング
テカリ予防にも使えますが、軽いテカリであればブラッシングで直ることもあります。
- テカっている部分をブラッシングする
方法はこれだけです。これなら手軽にできますね。
スチームをあてる
スチームには生地を柔らかくしたり、繊維を膨張させる効果があります。押し潰されてテカってしまった生地が復活してくれます。
- テカっている部分にスチームをあてる
(湿らせるのが目的なので、くれぐれも生地にアイロン本体をあてないように浮かしてください) - ブラッシングする
- ハンガーなどにかけ、形を整えて陰干しする
スチームという工程が増えましたが、それぞれの作業はとても簡単で効果がありますよ。
アンモニア水
少しハードルが上がりますが、上の方法でも治らない頑固なテカリに効果的です。
- 作業する部屋の換気を十分に行う
- 水100mlにアンモニア水8mlの割合で混ぜる
- 混ぜたものを霧吹きなどでテカリのある部分に吹き付ける
- 当て布を使いアンモニア臭がなくなる程度に軽くアイロンがけをする
- ブラッシングをする
- ハンガーなどにかけ、形を整えて陰干しする
アンモニア水を作るときに換気が必要ですが、アルカリ性のアンモニア水には繊維を膨張させる効果がありテカリにはとても有効です。
気になる臭いはアンモニアは揮発する時に一緒に消えるので、換気さえしっかりしていれば問題ありません。
アンモニア水は薬局でもネットでも購入できますよ。
引用:Amazon
まとめ
- 洗濯表示を見て当て布が必要かどうかを確認する
- 当て布を使わないより使った方が結果的に手間が省ける
- 衣類スチーマーは当て布を使わなくても良い
- 当て布は買わなくてもハンカチ・手ぬぐい・ガーゼでOK
- 普段のブラッシングでテカリ防止
- テカってしまっても修復できるので諦めない
アイロンがけの前に洗濯表示の確認は欠かせません。洗濯表示を無視すると後で痛い目に遭いますので書かれている内容を守りましょう。
また洗濯表示に当て布使用の表記がなくても、ジャケットのようなテカってしまうと悪い意味で目立つ服は安全のためにもできるだけ当て布を使ってアイロンがけをしましょう。
ビシッとアイロンを掛けてカッコよくジャケットを着こなしましょう!!