行きたい時にすぐ行けるコンビニエンスストア。とても便利で私達の生活の中に深く浸透して、今ではなくてはならない存在になっています。
特にコンビニで売っている弁当は種類も豊富で、バラエティーに富んでいます。しかし食品表示と呼ばれる弁当に使われている中身を詳しく見たことがありますか?実はその食品表示には重要な情報がたくさん詰まっているのです。
その中で特に注意してもらいたいのが添加物です。添加物は体に悪いイメージがありますが、それはなぜでしょう?今回はコンビニ弁当と添加物について詳しく紹介したいと思います。
目次
添加物とは?
添加物って何?
添加物とは食品を製造する過程・加工においてその食品の目的を果たすために使われる物質です。その目的とは
- 食品を長持ちさせるため
- 見た目の出来立て感を維持するため
- メニューにあった食感・色・味を作り出す
- 製造工程や加工食品をつくるために必要な場合
- 風味低下を防ぐため
コンビニ弁当は常に美味しく変わらぬ状態で陳列されていてとても便利です。しかし消費者にとっては有難い存在ですが、コンビニ弁当にはなぜ添加物を使用するのでしょう?
添加物を使用する理由
コンビニ弁当に添加物を使用する理由は
- 生産工場から消費者が口にするまでに時間を要する
- 見た目、味、風味が低下するとクレーム、食品ロスに繋がる
- 食中毒の危険性を回避
- 安価で手軽な商品をラインナップ
1.生産工場から消費者が口にするまでに時間を要する
コンビニ弁当は弁当を作る専門工場でライン生産をして、各店舗へトラック配送しています。その後、店員が山積みされた弁当をショーケースに並べます。さらに消費者が購入して口に入るまでにはかなりの時間を要します。
家庭やスーパー、チェーンの弁当店と比較すると、コンビニの場合、出来立てを提供するということは物流的に不可能なため、添加物を使用することによって、消費期限を長くしているわけです。
2.見た目、味、風味が悪いとクレーム、食品ロスに繋がる
コンビニ弁当の中華丼を例にしてみましょう。中華丼はあの「トロミ」が特徴のメニューです。しかしあの「トロミ」は家庭で作る場合は片栗粉でトロミをつけますが、時間経過と共にトロミの粘度が落ち、スープ状に近い状態になります。
コンビニ弁当の場合、時間経過で品質が変わると消費者のクレームになります。そのため、「増粘多糖類」と表示してある添加物を使用して、出来立ての「トロミ」を維持し、時間による品質低下を防いでいるのです。また、品質が低下すれば当然売れ残り、食品ロスにも繋がるわけです。
3.食中毒の危険性を回避
もし、コンビニ弁当に添加物を使用しなかったらどうなるでしょう?その場合まず考えられるのが食中毒の問題です。コンビニ弁当は食品表示に消費期限の時間まで細かく明記してあります。
その消費期限の時間は、生産者側では保存テストを繰り返し行い、安全性を確認しています。その時間までの菌の状態を確認しているわけです。もしコンビニ弁当を食べた消費者が食中毒になれば店舗もコンビニブランド・生産工場の信用性もなくし、今後の営業も難しくなります。
さらに怖いのが消費者が命を落とす危険性もあるので、その事態は絶対避けるべきことです。そのため、保存料を使用して食中毒の原因となる菌の増殖を防いでいるのです。
4.安価で手軽な商品をラインナップ
コンビニ弁当は手軽で安価で購入できることは大きな魅力です。しかしそれには、コスト的な面を考慮すると原材料や人件費などを切り詰め、更に商品利益を出さなけらばなりません。その際原材料のコスト削減となると、開発段階で人工的な添加物を使用するという選択が多いのも事実です。
消費者にとっては安価な商品ラインナップはとても有難いですが、企業努力により様々な方法でコスト削減を目指すには、添加物を使用しなくてはならない実情があります。
なぜ添加物は体に悪いイメージがあるの?
鮭おにぎりを例に家庭とコンビニおにぎりの材料の比較をしてみましょう。
通常、家庭ではおにぎりを作る場合、ご飯・食塩・海苔・鮭のシンプルな材料で済むわけです。しかし次項で解説しますが、コンビニのおにぎりは食品表示の原材料を見ると見慣れない物質名があり、手作り品にはない材料、つまり添加物が使われていることがわかります。
従って、手作り品とコンビニ弁当の材料を比較すると、この消費者にとっては一見必要がないと感じる添加物が体に悪いイメージを与えている可能性が高いわけです。ではどんな添加物を使っているのでしょう?
コンビニ弁当にはどんな添加物が使われている?
コンビニ弁当を選ぶ時、どんなことを考えてそのお弁当を選んでいますか?多くの方が食欲の赴くまま、気分などで商品を選ぶという選択をしていると思います。
もちろんそれもいいことですが、コンビニ弁当を選ぶ際に食品表示を見てみると、その商品の大切な情報が詰まっています。では実際のコンビニ弁当の食品表示の見方を紹介します。
食品表示の見方
食品には必ず食品表示ラベルが商品に貼ってあります。これには
- 原材料名
- 消費・賞味期限
- 保存方法
- 製造者・加工者の明記
上記の項目をJAS法という法律で明記を義務づけられています。また、添加物は食品衛生法という法律でこちらも明記を義務付けられていて安全基準内としての使用量も決められています。そしてここで注目したいのが原材料名です。
名称 | 鮭おにぎり |
原材料名 | 塩飯 さけ 海苔 調味料(アミノ酸等)PH調整剤 グリシン 紅麹色素 クチナシ色素(原材料の一部に大豆を含む) |
消費期限 | 01.6.3午前2時 6.2午後8時製造 |
保存方法 | 冷暗所に保存 |
製造者 | 東京都○○市○○工場 |
最初に原料の使用量が多い順に記載、次に添加物物質の多い順に記載されています。上記の表を例で見てみると、一般的には見慣れた原料(ピンクの部分)、次に記載してある表示名(黄色の部分)が添加物となります。またアレルギー表示も明記することが義務づけられています。
添加物の種類
添加物には大きく分けて2種類あり
- 厚生省の安全基準を満たした指定添加物
- 昔から長期わたって使用されてきた天然添加物
さらに天然添加物には、既存添加物・天然香料・一般食物添加物と細かく分類されています。
コンビニ弁当に使用されている添加物は種類も多く目的も様々です。ここでは上記のおにぎりの食品表示を例に使われている添加物を紹介します。おにぎりの具材、コンビニメーカーによっても多少違ってきますが名称と目的を知識として知っておくと大いに役に立ちます。
おにぎりの食品添加物(例)
- 調味料(アミノ酸等)
- PH調整剤
- グリシン
- 色素添加物
調味料(アミノ酸等)
コンビニのおにぎりは家庭で手作りするおにぎりと比較すると独特の旨味を感じます。それは旨味成分と言われ「グルタミン酸ナトリウム」と言われる成分が使われています。
この旨味成分は「かつおだし」や「旨味調味料」などの商品で食品に使用すると味覚的に美味しく感じられるので、おにぎりに限らず多くの食品に利用されています。
PH調整剤
PH調整剤の原理は酸性に食品を近づけることによって食品を長持ちさせる効果があります。ここで酢を使用してもいいのでは?と思いますが酢を使用するとおにぎりの味に影響が出て、酸味を感じてしまい違和感のある商品となります。そこでPH調整剤は無臭で味、品質に影響ない使用量を添加、さらに保存性を高める効果を発揮しているので、商品として利用されているのです。
しかし、PH調整剤の成分である「リン酸塩」は過剰な摂取により、骨がもろくなるという影響もあるので注意が必要な物質でもあります。
グリシン
グリシンはアミノ酸の一種で、調味料の役割もありますが、保存性、着色料、香料などの複合的な効果を併せ持つ添加物です。従ってその効果が様々な用途で使用される機会が多い添加物となっています。ただし、サプリメントの睡眠改善薬としても使用されていることから、過剰摂取には注意が必要です。
色素添加物
色素添加物は食品を着色する目的で使用されています。上記例の鮭おにぎりは「鮭」にこの色素が使われていて、そのままの具材を利用しても支障はないですが、やはり商品としてより美味しく見せるには着色料の効果で見た目の品質維持を保っています。
これらの添加物はほんの一例です。しかしさらに注意が必要な添加物があるので紹介しましょう。
注意しなければならない食品添加物とは?
添加物において注意しなけらばならない添加物を知っておくと、スーパー、コンビニなどの食品の買い物時に手に取って添加物を確認するときに役立ちます。
特に過剰摂取した場合に体への影響が高い可能性のある添加物を紹介します。
添加物 | 物質名 | 体への影響(過剰摂取による) |
保存料 | ソルビン酸 パラオキシ安息香酸など | 発がん性の可能性、肝機能低下 |
着色料 | 赤色2号・104号・106号 コチニール | 発がん性の可能性 |
発色剤 | 亜硝酸ナトリウム・カリウムなど | 毒性が強い |
甘味料 | サッカリン アスパルテーム | 肝機能障害 免疫に悪影響 |
発色剤・乳化剤等 | リン酸塩 | 骨密度低下 |
添加物の歴史と今後の使用はどうなる?
添加物の歴史
添加物の歴史は古く、例を挙げると昔から保全性を高くするために「塩漬け」という調理法があります。これま古代ローマからの調理法で、それには岩塩(亜硝酸塩)が使われていたという記録が残っています。
また昔からある豆腐に使われている「にがり」も凝固剤という表示にはなりますが、豆腐の製造工程の際にはなくてはならない添加物です。
食生活の変化に伴い消費者の食に対するニーズや用途も進化してきました。その影響で人工的な添加物も増え、添加物は「危険」という情報が先走りしていますが、添加物の歴史は昔の人の知恵から始まっているのです。
添加物は今後もなくならない?
この世の中から添加物がなくなったことを想像してみてください。当たり前だからこそ気づかない部分が多いですが、添加物があるからこそ安定した品質が保たれています。
例えば保存料が無ければ物が腐り食中毒になります。着色料がなけらば見た目の悪さから大量の食品が廃棄されます。品質が保持できなくると、弁当や総菜などが店舗から消え、今まで便利であった食品が無くなれば非常に不便で味気ない食生活になる可能性が高くなります。
今後、将来的にはさらに添加物を減らそうと大手コンビニメーカーは取り組んではいます。ですが添加物がこの世から全くなくなるということは、便利さを失う、豆腐やこんにゃくなどの昔ながらの食品がなくなるということになれば、それは非現実的であるため、添加物の量は変わっても、なくなるということはまずないでしょう。
コンビニ弁当の添加物と上手につきあうポイント
添加物は過剰摂取をした場合、コンビニ弁当を習慣的に食べ続けた場合、体に及ぼす影響が懸念されています。今後上手にコンビニ弁当を利用するポイントは
- 購入前に食品表示の原材料をチェックする
- 栄養バランスを考えて商品を選ぶ
- 時々の利用で普段はなるべく手作り弁当
- 添加物の少ない商品を選ぶ
添加物の少ない商品に関しては、おにぎりなら具材の味を生かした「鮭おにぎり」が最も添加物が少ない商品です。添加物の知識をつけた上で健康を意識したメニュー選びが上手に付き合えるポイントになります。
まとめ
コンビニ弁当の添加物についておさらいしましょう。
- 添加物の目的や役割を知ろう
- 添加物を意識して食品表示を見てみよう
- 添加物の種類を理解しよう
- コンビニ弁当は添加物を使用していると認識した上で上手に利用しよう
最近では震災や異常気象などでライフラインがストップしてしまうこともあります。その際はコンビニ弁当がとても役に立つことがあります。また、手作り品にこだわり過ぎて作業に追われると心に余裕がなくなり、ストレスの原因にもなります。やはり完璧に家事をこなして心身の健康を害するよりも、息抜きをする気持ちで時々はコンビニ弁当を利用して、家族のコミュニケーションを取る時間も必要ではないでしょうか?
一概にコンビニ弁当は危険と認識せず、程々の息抜きとして上手に付き合えば非常に便利で役立つ商品です。
そして利用する際には添加物を意識して、栄養のバランスを考慮しながら上手に利用しましょう。