紫外線を浴びすぎると皮膚や体に良くないということは皆さん知っている話です。
太陽光をたくさん浴びるときは、肌へのダメージや皮膚がん対策から、日焼け止めのクリームなどを塗ることが一般的になっていますが、そこが落とし穴になっていることを知っていますか?
以前は、日焼け止めを塗るのは年に数回、海に行った時や夏に屋外でスポーツをする時くらいでしたが、最近は化粧をするように日焼け止めを毎日使うようになりました。
今回は、日常的に使われるようになった日焼け止めを使うときに気を付ける事やデメリットを踏まえての解決策まで話していきたいと思います。
目次
日焼け止めが「肌に良くない」って何?
習慣化された日焼け止めが、皮膚や人体に悪い影響を与えているのではないか?という疑念が出てきているのを知ってますか?
日焼け止めの種類
最近では年中と言ってもよいほど「日焼け止め」が、ドラッグストアにたくさん並んでいますよね。
たくさんある日焼け止めですが、大きく分けて2種類になります。
- 紫外線吸収剤使用
- 紫外線散乱剤使用
それぞれの特徴を簡単にあげてみますと・・・
- 紫外線を吸収して熱などのエネルギーに変換して肌へのダメージを防ぐ
- 無透明で肌へのなじみが良い
- アレルギー反応や炎症を起こす人もいる
- カサつくことがある
一方、散乱剤の方は・・・
- 酸化チタンなどの天然の素材で肌表面で反射や散乱をして肌へのダメージを防ぐ
- 肌への負担が少ない
- 白浮きしたり肌へのなじみが悪い
それぞれ、このような特徴があります。
肌に入り込む成分
紫外線をたくさん浴びると、ご存知の通り肌へのダメージは大きく、「シミ」「ソバカス」「深いしわ」「皮膚がん」様々なことが言われます。
「UVカットしましょう!」
「紫外線対策してますか?」
よく聞くフレーズですよね。
日焼け止めのクリームを塗って、お化粧をして帽子や日傘、本当に今の紫外線対策は正しいのでしょうか?
私のよく行く皮膚科の先生の話ですが、先日皮膚科を受診したときに「日焼け止めって、毎日塗ってもいいんですか?」と、訊ねたんです。
先生は、
日焼け止めには、体に入るとあまり良くない成分もあるから毎日は塗らない方がいいと思うよ。肌に塗るものは、良い成分も悪い成分も肌から吸収されるからね。それに、日焼け止めは塗る範囲が広くなってなおさら吸収される量も多くなるから。
こんなことを話してくれました。
日焼け止めは有害!?
実は、日焼け止めに使われている化学物質のオキシベンゾンやメトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどが、「サンゴ礁」「海洋生物」にとって有毒成分を含んでいると言われています。
紫外線吸収剤の日焼け止め
環境汚染が心配されているのは、紫外線吸収剤の日焼け止めの方です。これに使われている化学物質で懸念されているオキシベンゾンやメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの特徴ですが、
- 紫外線吸収剤はホルモンの1種のエストロゲン(女性らしさを作るホルモン)を破壊する
- 妊婦さんが使用すると胎盤を通して赤ちゃんが低体重で産まれたり、先天性の疾患の原因にもなる
- 男性の不妊症にも関係がある
- 皮膚から浸透し体内に吸収されることが分かった
- 動物実験で子どもの精巣サイズが小さくなり精子数が減少した
- 脳の発達にも影響
- 授乳中の母親の母乳から成分が検出された
この他にも「白内障」「皮膚がん」の心配もされています。皮膚から体内に入った物質は血管を通り体中を巡っていきます。その結果これらのように男女問わず人体への影響を及ぼすことになります。
海洋汚染で使用禁止!?
使用禁止が叫ばれているのは、紫外線吸収剤の日焼け止めです。
環境への影響
オキシベンゾンやメトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどの化学物質は、一般的な排水処理プラントの技術では取り除くことができないため、そのまま海に流れてしまいます。
また、海水浴場で日焼け止めを塗って海に入れば、日焼け止めの成分が溶けていきますよね。そのため、私たちが口にする魚介類にも影響があり、その魚介類を食べることによって、有害物質が人体に蓄積されてしまいます。
日本では、まだ紫外線吸収剤入りの日焼け止めの使用禁止はされていませんが、海外では「サンゴ礁」にダメージを与えるとして、オキシベンゾンやメトキシケイヒ酸エチルヘキシル(オクチノキサート)配合の日焼け止めが2021年から販売禁止になります。
- ハワイ州
- フロリダ州
- ボネール島(カリブ海)
- パラオ諸島
この他の国や地域でも広まりつつあります。
日焼け止めが肌に与えるダメージって?
日焼け止めを塗って肌がダメージを受ける!
そんな話を聞いたことがありませんか?
日焼け止めのSPF・PAってなに?
日焼け止めを買いに行くとSPF20とかSPF50、AP++なんて表示されていませんか?
SPFはUV-B(紫外線B波)に対する効果を表す目安の数値です。
例えば、SPF30と表示されているときは、日焼けするまでの時間を30倍遅らせるという意味でになります。日焼けをしないという意味ではありません。お勧めは日常であればSPF15くらいで、炎天下のスポーツやレジャーならSPF50がいいと思います。
SPF1は日焼けが始まるのを20分遅らせるということです。
SPF10は、約200分遅らせることができるということです。
PAはUV-A(紫外線A波)に対する効果を表す目安の数値です。
シワやタルミの原因を阻止する
AP+が多くなるほど効果が増していきます。日常であればAP++で、炎天下のスポーツやレジャーならAP++++以上がいいと思います。
肌が乾燥するしてしまう日焼け止め!?
日焼け止めを使っていると「肌が乾燥する」という声を聞くことがあります。実際、私も夏場に日焼け止めを使用した後に洗顔すると、肌がカサカサした感じがしました。
日焼け止めを塗るとカサカサするようなときは、肌が乾燥しているからです。
肌が乾燥するとバリア機能の低下につながり、肌のターンオーバーが乱れてしまい、ますます肌荒れが進んでしまいます。
- バリア機能とは、紫外線・乾燥・ほこりなど外からの刺激から守り、肌の水分や油分をを保ってくれる働きがあります。
- ターンオーバーとは、皮膚の生まれ変わるサイクルです。
加齢とともにサイクルは長くなってきますが、ほぼ28日周期で生まれ変わります。
では、どうして肌が乾燥してしまうのでしょう?
化粧品のほとんどに使われている、アルコール成分のエタノールやDPGは水と油を均一に混ぜることができます。
均一に混ぜることで
- 保湿作用
- バリア改善作用
- 製品の安定剤
このようなメリットがあります。
日焼け止めにも、アルコール成分が使われています。アルコール成分を使うことによって、使ったときの爽快感が得られます。特に、サラサラタイプの日焼け止めに多く使われていますが、この「アルコール成分」によって肌の乾燥が起きてしまいます。
また、日焼け止めの効果を出来るだけ維持するために、落ちにくい成分も入ってるため、洗顔もいつも以上に必要になるために肌の潤いが奪われてしまいます。
肌が乾燥してるな?と、感じたらサラサラタイプは止めて、無香料の乳液タイプの日焼け止めをお勧めします。
肌荒れする日焼け止め!なぜ?
日焼け止めは、外出前に1度塗れば良いのではなく、何度か塗り直しをしないと効果が充分発揮出来ません。
また、日焼け効果と水に濡れても落ちにくい「ウォータープルーフタイプ」は、肌への密着度が高いため皮膚呼吸ができない状態になってしまいます。
そのため皮膚の代謝が乱れてしまい、肌荒れの原因になってしまいます。
石鹼やボディソープなどでやさしく丁寧に日焼け止め成分を洗い流し、必ず保湿をしましょう!
日焼け止めを塗って、肌が悪くなる?
肌は出来れば、白くスベスベでいたいものですよね。「紫外線を浴びて、シミやシワなど作りたくない!!」「日焼け止め塗って完璧に防止する!」とお思いの方もたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、塗り方しだいで肌が悪くなってしまうこともありますから、気を付けないといけません。
日焼け止めのデメリットを知る
日焼け止めのデメリットを知ることで、正しい使い方をすれば肌に悪影響を与えることを防ぐことができます。
- 強い吸着力がある
- 肌を酸化させる
主に上げられるのはこの2つです。それぞれ見ていきましょう。
強い吸着力がある
汗や水などで日焼け止めが落ちにくくなるように作られているので、日焼け止めを落とす時は強いクレンジング力が必要になります。するとゴシゴシ洗ったり、強力なクレンジングを使ったりで、肌がボロボロになっていきます。その結果、肌のバリア機能が崩れてシミができてしまうんです。
肌を酸化させる
紫外線散乱剤の成分の中には「酸化チタン」「酸化亜鉛」が含まれているものが多いです。その成分が紫外線を受けることによって、他に配合されている成分と肌を酸化させてしまいます。肌の酸化がすすむことは肌の老化へと繋がっていくんです。
このようなデメリットがあります。そうならないためにも、正しい塗り方を覚えましょう。
肌荒れしない日焼け止め塗り方
日焼け止めの塗り方のポイントをしっかりと押さえておけば、デメリットを気にしなくてもよくなりますよ!
- 直接塗らない
- 塗りこまない
- 重ね塗りする
この3点だけ気を付ければ大丈夫です。
直接塗らない
直接塗ることで、肌が刺激を受けやすくなりますので、保湿をしっかりとしてから塗ります。保湿ケアをしたらなじむまで待ちましょう!
塗りこまない
肌にはよくない成分も含まれているので、ポンポンと軽くたたくように塗っていきます。すり込むように塗ると毛穴をふさいでしまい、肌呼吸ができなくなります。
重ね塗りする
日焼けしやすいところは、重ねて塗りましょう。重ね塗りするときは少し時間を空けましょう。
日焼け止めで逆効果にならないために
日焼け止めを塗っているのに日焼けしていることがありませんか?なぜでしょう?
あなたのスキンケア間違っていませんか?
下の項目をチェックしてみてください。
- 正しい使用量を使っているか?
「とりあえず塗ればいい」「もったいないから少しでいいわ」そんな考えでいませんか?商品に記載されている使用量を使ってこそ、効果があります。とは言え「たくさん塗ればいい」ということではありません。 - 塗り直しをしているか?
1日中外出していると、汗をかいたりして効果が薄れていきますので、塗り直しが必要になります。こまめに塗り直しをしましょう。 - 塗りムラがないか?
全部を一度で塗るのではなく、薄く2回に分けて塗ることで塗りムラを減らすことができます。 - 日焼け止めの前に肌の保湿を十分にしているか?
日焼け止めを塗ると、肌が乾燥気味になりやすいので、保湿を忘れずにしましょう。 - 日焼け止めは1種類だけにしていないか?
ライフスタイルに合わせて、使い分けましょう。効果がある方がいいからと言って、常に数値が高い商品を使っていると肌荒れの原因になります。普段は出来るだけ数値の低いもの、屋外でのスポーツやレジャーの時には数値の高いものと使い分けましょう。 - 期限切れまたは、去年の残りを使っていないか?
お得だからと言って、量の多いのを選ぶのは止めましょう。残ってしまうと期限切れになってもったいないこともありますが、つい使ってしまいがちです。期限切れのものは絶対に使わないでください。成分が変化していることもありますし、効果自体も半減して肌荒れの原因になってしまいます。シーズンごとに使いきれる量のものを使い選びましょう。
いかかがでしょうか?当てはまる項目はありましたか?
目にも日焼け止め!
さすがに目に日焼け止めを塗るわけにもいかないですが、目も忘れてはいけません。肌を日焼け止めでカバーしても、目もサングラスやツバの広い防止などで守ってあげましょう。
目に強い紫外線がはいると、肌に紫外線が直接あたっていなくても、目から入った紫外線で脳が錯覚を起こし、肌を守ろうとして、メラニン色素を過剰に作り出してしまい肌が日焼けをしたような状態になってしまいます。
紫外線は目の中にも蓄積されてしまい、ドライアイや充血、白内障の原因にもなります。
UVカットのサングラスで肌と一緒に守ってあげましょう。
意外に必要な紫外線
これまで、紫外線を悪者にしてきましたが、紫外線は健康のためには必要なものでもあるんです。
紫外線には、地球に届くA波(UV-A)とB波(UV-B)があり、その他紫外線はオゾン層でほとんど吸収されてしまいます。
A波は波長が長く皮膚や目にも影響を与えます。
B波はほとんどがオゾン層で吸収されますが、一部が地球まで届き皮膚に炎症や細胞を傷つけてしまいます。
悪影響ばかりと思われている紫外線ですが、ビタミンDを作るのには欠かせないものなんです。
- 骨の形成(骨粗しょう症予防)
- 筋力を高める
- 病気の予防
- カルシウムの吸収を助ける
食事からも摂取することもできますが、1日に必要な量を取ることが難しいのが現実です。
1日20分の日光浴で健康維持!!
日焼け止めの代用品
環境に悪い、肌に悪いと言われるのなら代用品を探してみませんか?
身近にある代用品を紹介します。
化粧下地(ファンデーション、BBクリーム含)
化粧品にはUVカットの成分が入っていますので、日焼け止めで肌荒れする人は、お化粧をするだけでもある程度の日焼け効果は期待できます。
椿オイル
髪の毛に塗るイメージが大きいですが、食用油(カメリヤ油)としても使われています。椿オイルは人の脂質と同じ成分で出来ていると共に、蒸発しにくく酸化しにくいと言われています。用途も幅広く・・・
・クレンジングオイル
・乾燥肌のスキンケアとボディケア
・日焼け止め(UVBカット)
・頭皮ケア
などに使えてとても便利です。
キャロットオイル
ニンジンの根を細かく刻んで、浸出油に浸したあと、ろ過するとできあがります。
ビタミンA、カロチン豊富に含んでいるので美肌効果バツグンです。
お茶化粧水
煎茶を熱湯で濃い目に入れて、2煎目のお茶を利用します。お茶を冷ましたらグリセリンを小さじ一杯入れて出来上がりです。添加物が入っていないので、1週間くらいで使いきれる量を作りましょう。お茶は飲むことで健康に良いのですが、美容効果も高いので化粧品にも使われるようになりました。煎茶は、ビタミンC、ビタミンEやポリフェノール、ベータカロテンが豊富で、お茶に含まれているカテキンには殺菌作用もあります。
身近なもので代用できる日焼け止めを4つ紹介しました。
その他にも
- オリーブオイル
UV-Bカット。 - シアバター (シアバターの木の種からとる)
UV-Bカット昔から使われていて、保湿、保護効果がある。 - ココナッツオイル
UV-Bカット抗酸化作用と抗炎作用があるので、日焼け後のケアにも良い。 - ラズベリーシードオイル
UV-A、UV-Bカット高い日焼け止め効果。 - 小麦胚芽油
UV-A、UV-Bカット抗酸化作用、アンチエイジング効果があるので日焼け後のスキンケアのも良い。
などもありますので、参考にしてください。
日焼け止めTPO
さまざまな「シーン」に合うような日焼け止めを選ぶことも大切です。
先ほども話しましたが、出かける場所や紫外線にあたっている時間などを考えて、日焼け止めを選びましょう。
数値が高ければいいわけではない
- UV-Aは肌を黒くする
- UV-Bは肌に炎症を起こす
- SPFはUV-Bに対する防止効果 数値が大きいほど防止力が高い
- PAはUV-Aに対する防止効果+が多いほど効果が高い
- 肌に密着する「塗るタイプ」
- 外出中でも塗り直しがお手軽な「スプレータイプ」
- 海やスポーツ、激しい運動には「ウォーターループ」
これらのことを踏まえて、紫外線にあまりあたることが少ないのであれば、SPFやPAの数値の低いものにしましょう。数値が高くなれば、肌へのダメージも大きくなります。
また、塗る体の場所によっても日焼け止めの種類を変えましょう。顔・首筋、腕・足、体それぞれに違う日焼け止めを使うことがおすすめです。
忘れないで!頭皮の日焼け予防
髪の毛や頭皮は顔の5倍の紫外線を浴びています。
髪の毛のダメージは
- 髪のタンパク質が失われた ➡ パサつく
- 髪の毛の中で酸化がおきる ➡ 髪の色が赤くなる
- キューティクルにダメージ ➡ 髪の毛の艶がなくなる
これに対する対処法は
- やさしくシャンプー
- 傷んだ髪の毛を重点的にトリートメント
- タオルドライでドライヤーの時間を短縮
次は頭皮ですが、
- ヒリヒリとした痛み
- 頭皮の皮がフケのように剥がれ落ちる
- 抜け毛が多くなる
- 白髪になりやすくなる
こちらの対処法は
- 頭皮のクールダウン
(冷たいタオルで頭を覆いホテリを冷やす) - シャンプーの時は頭皮を刺激しない
(指のはらで洗う) - ぬるま湯で洗う
髪の毛はある程度確認できますが、頭皮は髪の毛で覆われていることもあり、確認しにくいので刺激を与えないように気を付けましょう。
まとめ
- 日焼け止めには身体に悪い成分が含まれている
- 紫外線吸着剤で環境汚染がすすむ
- 日焼け止めで肌乾燥になる
- 日焼け止めのデメリットを知る
- 日焼け止めは正しい使い方で
- 身近なもので日焼け止めの代用品を作る
- 頭皮もしっかり日焼け対策を
日焼け止めが環境や体に及ぼす影響と、日焼け止めの使い方について話してきました。
日焼け止めの成分も日々見直されてきています。あなたのライフスタイルに合わせて、上手に日焼け止めを使ってきれいな肌で、楽しい毎日を送りましょう。