冬には毎日のように着るコート。冬場には手放せないアイテムですが、それ故になかなか洗えない衣類です。
そんなコートを洗う際、多くの方がクリーニングを利用されるかと思いますが、クリーニング代も安くはありません。コートも自宅で洗えないかな…と考えたことはありませんか?
実はコートであっても素材によってはご自宅でも洗えるものもあるんです!今回はコートの洗い方やその注意点についてご紹介します!
目次
家で洗えるかどうかのチェック
コートと一口に言っても、実際世の中には本当に様々な素材のコートが存在しています。ウール、カシミヤ、シルク、レーヨン…数え始めるとキリがありませんが、コートを自宅で洗う際に注意するべきことは、その素材が水洗いがOKかNGかの判断です。
水洗いOKかNGかの見分け方
コートを自宅で洗えるか否か最大のポイントは家で水洗いができる素材かどうかですが、確認方法は至ってシンプル。コートの裏側に縫い付けてある洗濯表示(洗濯タグ)に以下のマークがあれば家庭での洗濯は不可と認識してOKです。つまり、下記の表示がないコートであれば自宅での洗濯は可能なんです!
新旧区分 | 洗濯表示 | 意味 |
新 | 家庭での洗濯禁止 | |
旧 |
- 絹(シルク)
- 麻
- カシミヤ
- レーヨン・キュプラ
- 皮革・毛皮
ドライクリーニングのマークについて
洗濯表示に詳しい方であれば、ドライクリーニングの種類を表す洗濯表示があることをご存知かもしれません。具体的には「P」や「F」などのアルファベットが記載されている表示ですが、この表示はクリーニング専門店でどの溶剤(洗剤)を使用して洗濯するかを指定するもので、水洗いができるかどうかを指示するものではありません。
つまり、ドライマークの表示があっても水洗いが可能なケースもあるのです。繰り返しになりますが、ポイントは「水洗い不可」のマークがあるかどうかです。
<参考:ドライクリーニングの表示>
新 | 旧 | 意味 |
パークロロエチレンおよび石油系溶剤によるドライクリーニングが可能 | ||
パークロロエチレンおよび石油系溶剤による弱いドライクリーニングが可能 | ||
石油系溶剤によるドライクリーニングが可能 | ||
石油系溶剤による弱いドライクリーニングが可能 |
衣類の取扱い方法表す洗濯表示は、2016年12月より新しい表示に一新されました。
現在市場に出回るマークは全て新表示となっていますが、2016年以前に購入したものであれば表記が異なるためご注意くださいね!
家で洗う時の手順や注意点
洗剤はおしゃれ着用のもので
自宅での水洗いがOKだからと言って、使用する洗剤が何でもいい訳ではありません。コートを水洗いする際は「おしゃれ着用」の洗剤を使用してください。
一般的な洗剤は弱アルカリ性の性質で、洗浄力が強いのが特徴です。そのため、素材としても繰り返しの水洗いにも耐えられる生地(綿、ポリエステル、合成繊維など)を想定して作られています。コートのようなそもそも頻繁に洗濯をしない衣類の洗濯には向いていないんです。
一方おしゃれ着用お洗剤は中性の洗剤で、洗浄力は弱アルカリ性の洗剤には劣るものの、衣類へのダメージが少ない洗剤です。水洗いによる色落ちや縮みなどを防止する成分も配合されているため、最も「衣類に優しい洗剤」と言われています。
- エマール(花王)
- アクロン(アイロン)
事前準備
色落ちしないかどうか事前にチェック
洗濯表示では水洗いOKとなっている場合でも、使用する洗剤によっては色落ちをしてしまうケースがあります。特に注意すべきは柄物や色の濃いコート。面倒だな…と思うかもしれませんが、せっかくお気に入りのコートだったのに、色落ちしてデザイン性も損なわれてしまった…なんて悲しい事態にならないためにもこの行程はしっかり行ってくださいね。
- 使用する洗剤
- 白いハンドタオル
- コート
- 用意した白いハンドタオルに、少量の洗剤をつける
- コートの裏側など目立たない部分に、ハンドタオルをトントンと優しく叩く
- 白いハンドタオルにコートの色がついているかどうかをチェック
- 色がつかなければ自宅での洗濯OK!色がついたものは専門店へ
部分洗いをする
コートに限らず、衣類は一般的に袖や襟部分が特に汚れやすい部位となっています。目立った汚れがなければ省略しても良いのですが、もし気になる汚れがみられる場合は事前に部分洗いをしておくと仕上がりがより綺麗になります。
手順としては、気になる部分に直接洗剤をかけ、歯ブラシなどでやさしくトントン叩くだけです!ここで擦ってしまうと生地を痛める原因となりますので、絶対に擦らないよう注意してくださいね。
洗濯ネットを使用
コートはデリケートな衣類ですから、他の衣類に絡まないよう洗濯ネットに入れておきましょう。この際ボタン等は止めておき、軽く畳んだ状態で入れておくと型崩れ防止にも役立ちます。
おしゃれ着コースで水洗い
最近の洗濯機には標準コース、スピードコースといった様々な洗濯コースがあることはあなたもご存知でしょう。これは家庭で洗濯する際、洗濯するアイテムに適した洗い方を自動でしてくれる実に便利な機能で、その中には「おしゃれ着コース」というコースがあります。
「おしゃれ着」コースは文字通り、一般的におしゃれ着に分類されるニットやワンピース、スーツなどに適した洗い方をしてくれる機能。今回のテーマであるコートもこのおしゃれ着コースで洗濯するのが◎です!
ちなみに「おしゃれ着コース」と「標準コース」で何が違うかというと、ずばりドラムの動き方!おしゃれ着コースは標準コースにくらべ、ドラムの動き方がソフトなのが特徴。ぎゅいんぎゅいんと左右に激しく揺られる標準コースとちがい、ゆりかごのようにゆらゆらとした動きで、非常に優しい洗い方となっています。
干し方
自宅でコートを洗う際は、干す時にも注意点するべきポイントがあります。
ハンガーは厚めのものを
コートはそれ自体重さのあるものですから、水洗いをすると当然さらに重さが増します。この時にTシャツなどで使用するような薄いハンガーを使用してしまうと型崩れの原因になります。なるべく厚めでしっかりした素材のハンガーを使用するのがベストです。
直射日光は避け、陰干しで
これはコートの素材によりますが、コートの素材によっては直射日光に弱いものもあります。そのため直射日光を避け、なるべく日陰に干すようにしましょう。
汚れには種類がある
あなたの家でお手持ちのコートを洗えた場合でも、コートについている汚れによっては洗い切れていない汚れがある可能性があります。というのも、汚れには主に3つの種類があるんです。汚れの種類によって家庭で対処できるものと、クリーニング専門店に依頼しないと落ちないものがあって、何の汚れを落とすかによって対処方法が異なってくるんです。
水溶性の汚れ
水溶性の汚れは水に溶ける汚れ、つまり自宅の家庭用洗濯機で洗える汚れです。具体的には汗やジュースなどの飲み物による汚れが代表的です。水溶性の汚れであれば家庭用洗濯機で十分対処ができるため、水洗いが可能なコートであれば問題なく落とすことができます。
油溶性の汚れ
2つ目は油溶性の汚れです。油溶性の汚れは水では洗えないため、一般的にはクリーニング専門店で使用する油性の有機溶剤でのみ洗える汚れです。この不溶性の汚れの代表格が皮脂汚れです。
あれ、コートは服の上に羽織る衣類なのだから直接皮膚が触れる部分はないのでは?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、袖や襟、首元はコートの生地が直接肌と触れることもあります。女性であれば日々のお化粧で活躍するファンデーションも油溶性の汚れのため、ファンデーションによる汚れなども蓄積されています。
不溶性の汚れ
汚れの種類の最後、3つ目は不溶性の汚れで、一般的にコート類で最も多いとされる汚れです。不溶性の汚れとは水にも油にも溶けない汚れで、一番落とすのが難しい汚れです。具体的には空気中の砂や埃、鉄粉などの空気中にゴミ含まれる汚れです。
不溶性の汚れは時間が経てば経つほどに落ちにくくなる特徴があるため、長期間放置されると家庭では対処しきれなくなるため、洗濯のプロであるクリーニング店を利用するのが確実です。
クリーニング店を利用するかの判断ポイント
水洗い自体が禁止されていないコートであれば、ドライマークの洗濯表示がついたコートでも自宅での洗濯は可能です。とはいえ、先ほどご紹介したようにコートについた汚れによって家庭での洗濯だけでは対処できない場合もあります。自分で洗えたとしても、色落ちや型崩れをしてしまう可能性もゼロではありません。
では、やはりコートはクリーニング店に出すしかないのでしょうか?
購入価格が1万円以上ならクリーニングに
コートは日常的に使う衣類の中では比較的高価なアイテムです。安いものは7,000円〜8,000円のものもあるものの、一般的には10,000〜20,000円を超えるものが多いですよね。高いお金を出して買ったコートですから、やはり大事に長く使いたいものです。なので、購入価格が10,000円を超えたものであれば、自宅での洗濯よりもクリーニング店の利用をおすすめします。
自宅での水洗いは色落ちや型崩れのリスクと隣り合わせです。その点クリーニング店は洗濯のプロですから、確実にコートの生地や状態に適した仕上がりを約束してくれます。
自宅で洗うなら日々のお手入れを忘れずに!
なるべくクリーニング代を押さえたい、自宅で洗えるものは自宅で洗いたい方であれば、日々のお手入れで頑固な汚れを予防しましょう!水に溶けにくい油溶性、不溶性の汚れでも軽い汚れならば自宅でも対処できます。
着用後はやさしくブラッシングを
コートを長持ちさせ、かつなるべく自宅で対処したいのであれば、コートの着用後のブラッシングをお勧めします。使用するブラシはスーツなどで使用する洋服ブラシでOK!これによりホコリなどの不溶性の汚れをついたその日に落とせますし、毛玉などもできにくくなるので見栄えもよくなります!
撥水スプレーやマフラーで汚れ防止対策!
皮脂汚れなどの油溶性の汚れ対策として、コートを着用する前に袖口や首元の部分に撥水スプレーを吹きかけておくとコートの生地に皮膚が触れても皮脂汚れがつきにくくなります。また、首元にはマフラー、手元には手袋を着用すれば直接皮膚が触れることを防ぎつつ、ウィンターファッションも同時に楽しめますよ!
まとめ
今回はコートを自宅で洗濯する際の方法とその注意点についてご紹介しました。
- 自宅で洗えるかどうかの判断ポイントは、水洗い禁止のマークあるかないか
- ドライマークがついていても、水洗い禁止のマークがなければ自宅でも洗濯できる
- 自宅で洗う際は色落ちチェックと洗濯ネット・おしゃれ着用洗剤が必須アイテム
- 洗濯コースは標準ではなくおしゃれ着コース。脱水後は陰干しで
- 水洗いが可能でも、リスクを考慮し1万円以上のものはクリーニングへ
- 油溶性・不溶性の汚れ対策には日々のお手入れで頑固汚れを防止しよう!
高価なコートは取り扱いに注意が必要なことは確かですが、最近は家庭用洗濯機でも様々な洗い方ができるようになっています。もしあなたがコートのクリーニング代に悩んでいるのなら、試しにあなたのコートの洗濯タグをチェックしてみましょう!